自治会は 法律で拘束された組織ではありません
自分たちで自主的に組織し 自治的に運営する地域団体です
地域の活動は 自治会で自由に決めることができるのです
役員の報酬も 必要とするなら自分たちで決めることができます
民生委員は 法律で決められた全国的な公的な組織です
助けを求める人のそばに寄り添い 百年の歴史を刻んできたのです
その活動も 法律の定めるところで 動きます
福祉六法や売春防止法などによる 援助を必要とする人たちを対象とします
民生委員は 厚生労働大臣から委嘱され
非常勤特別職の地方公務員として 身分を保障されています
だから 行政が民生委員に対して監理指導することができるのです
職務も明確にされ 行政では手の行き届かない暮らしの場でカバーするのが役目です
公的な活動だからこそ 実費弁償としての少額の手当を受けているのです
給与は支給されないと 法律で明記されています
ただ怪我や事故があれば 公的に保障されます
自治会役員の場合はどうでしょう
あくまでも 自治的に運営することを旨として
その役員も 地域に在する人が互選されます
行政に協力することがあっても
行政の監督指示は 受けることはありません
あってはなりません
戦時中組織化され 大政翼賛会に集約されて 戦争協力したことが
戦後GHQから 自治会が解散させられた 悪しき歴史があるのです
地域に必要な自治組織として再生する条件が
行政の配下にはあってはならないと GHQから釘を刺されました
だから 役員の報酬の是非も 自分たちで決めることができるのです
民生委員は 報酬をもらえて
自治会役員は 報酬をもらえない
納得できないと啖呵を切る方も いないことはありません
地域や活動の共通性から 報酬の問題を取り上げるのは
そもそも その組織の目的や活動の内容からして違うのです
本質的に全く違うことを その人にわかってもらうのは 難しいかもしれません
ただ お金がもらえないことを憤っているだけですから
それを民生委員に当てつけて 文句をいっているだけのことです
民生委員の活動は 自治会の役員や住民と協力して
困っている人が 地域で一日でも長く暮らすことをサポートすることです
目的を同じくして 共働することこそ
地域を元気にしていくことにほかなりません
悩みや不安になることもあるでしょう
自治会の役員の力を借りると 楽になることもきっとあります
一人でも多くの方に 民生委員の活動を知っていただくことも
活動の負担を軽減していくことになるでしょう
それは 地域で支えていただく人を増やしていくことでもあります
それは 災害時にも強い 地域の支え合いを育むことでもあります
※「福祉六法」とは、生活保護法、児童福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、老人福祉法、母子及び寡婦福祉法の六法です。
〔2020年3月11日書き下ろし。東日本大震災10年目のこの日、被災地では職責を果たそうと多くの民生委員も犠牲となった。復興の地でも民生委員は志を継いで活動を続ける。震災で犠牲となった多くの御霊に合掌〕