反応と反動

森友学園を巡る公文書改ざんに
関与させられて追い詰められ心を病み 
2018年3月7日 自ら命を絶った
赤木俊夫氏の「手記」が明らかになった

疾病に基づく 発作的・衝動的な自死ではない
冷静な意識を 最期まで保ったままの覚悟の死
「憤死」と呼ぶしかない 凄まじい最期だった
そう論じる者もいる

麻生財務大臣の反応は
手記を見ることもなく 平然と再調査を拒否する
関係した閣僚たちは さしたる処罰も受けず出世する
隠しおおせたと思った一件が 暴露され
訴訟という手段で 法的に解明の道筋をつけた
不起訴と無罪放免した 忖度の疑惑の晴れぬ検察は
暴き出される事実を 誠実に検証できるのか
職務遂行が 正しく求められてこそ 法の番人となる

国民の奉仕者という上級公務員にこそ 求められる真摯さは
顧(かえり)みられることもなく 内閣の奉仕者にとその身を落とし 
財務省とトップ官僚自らが 民主主義を欺き 黒い歴史を刻んだ
内実の知る議員たちは 関係者は処分したから
この事案 力で押し切るしかない
臭いものにはすぐフタをして やり過ごしたいと
かかる火の粉を振り払い 選挙に向けた本音をもらす

政治は 力のバランス
一方に忖度して 偏った官僚政治は
いつの世も 元に戻ろうとする揺り戻しの反動に
抗(あらが)うことは許されず 自壊する
真実は 一方にだけ語られるものではない
法の前に 明らかにされてはじめて真実となる
国民の奉仕者を 二度殺めてはならない

〔2020年3月22日書き下ろし。赤木俊夫氏の奥様の英断に感謝したい。悪政が続く限り、誠実に生きた公務員の声を押し殺すことは、二度殺めることになることを肝に銘じたい〕

付記
学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却と財務省の公文書改ざん問題で、自殺した財務省近畿財務局の赤木俊夫さん(当時54)の手記全文の一部を引用します。
「4. 決裁文書の修正(差し替え)」
本年3月2日の朝日新聞の報道、その後本日(3月7日現在)国会を空転させている決裁文書の調書の差し替えは事実です。元は、すべて、佐川理財局長の指示です。
局長の指示の内容は、野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました。
佐川理財局長の指示を受けた、財務本省理財局幹部、補佐が過剰に修正箇所を決め、補佐の修正した文書を近畿局で差し替えしました。
第一回目は昨年2月26日(日)のことです。当日15時30分頃、出勤していた統括官から本省の指示の作業が多いので、手伝って欲しいとの連絡を受け、役所に出勤(16時30分頃登庁)するよう指示がありました。その後の3月7日頃にも、修正作業の指示が複数回あり現場として私はこれに相当抵抗しました。
管財部長に報告し、当初は応じるなとの指示でしたが、本省理財局中村総務課長をはじめ田村国有財産審理室長などから管財部長に直接電話があり、応じることはやむを得ないとし、美並近畿財務局長に報告したと承知しています。美並局長は、本件に関して全責任を負うとの発言があったと管財部長から聞きました。管財部長以外にも、●●管財部次長、●●次長の管財部幹部はこの事実をすべて知っています。
本省からの出向組の●●次長は、「元の調書が書き過ぎているんだよ。」と調書の修正を悪いこととも思わず、本省の補佐の指示に従い、あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行ったのです。(大阪地検特捜部はこの事実関係をすべて知っています)
これが財務官僚機構の実態なのです。パワハラで有名な佐川局長の指示には誰も背けないのです。佐川局長は、修正する箇所を事細かく指示したのかどうかはわかりませんが、補佐などが過剰反応して、修正範囲をどんどん拡大し、修正した回数は3回ないし4回程度と認識しています。役所の中の役所と言われる財務省でこんなことがぬけぬけと行われる。
森友事案はすべて本省の指示、本省が処理方針を決め、国会対応、検査院対応すべて本省の指示(無責任体質の組織)と本省による対応が社会問題を引き起こし、嘘に嘘を塗り重ねるという、通常ではあり得ない対応を本省(佐川)は引き起こしたのです。
この事案は当初から筋の悪い事案として、本省が当初から鴻池議員などの陳情を受け止めることから端を発し、本省主導の事案で、課長クラスの幹部レベルで議員等からの要望に応じたことが問題の発端です。いずれにしても、本省がすべて責任を負うべき事案ですが、最後は逃げて、近畿財務局の責任とするのでしょう。怖い無責任な組織です。
○刑事罰、懲戒処分を受けるべき者
佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、田村国有財産審理室長ほか幹部担当窓口の補佐(悪い事をぬけぬけとやることができる役人失格の職員)
この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。
今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。(55才の春を迎えることができない儚さと怖さ)家族(もっとも大切な家内)を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。私の大好きな義母さん、謝っても、気が狂うほどの怖さと、辛さこんな人生って何? 兄、甥っ子、そして実父、みんなに迷惑をおかけしました。
さようなら。(朝日新聞2020年3月18日)