自然死

寿命だったとあきらめたい
盲腸もとうの昔なら 命尽きていた
いまの時代の寿命とは
医療の手を尽くしても
延命治療も万策尽きて 快復不能
その尽くし方が 問われてる

高度な医療機器と専門の医療者との
マッチングがなければ
手遅れと言われて あきらめる
助けられたはずだと あきらめきれずに 地団駄を踏む
それでもそれが 命の定めと受け入れて
寿命が尽きたと あきらめる

何の予兆もない突然死 
残された者には 
強烈な茫然自失の感情の後に 深い悔恨が襲う
どうすることもできない 無常と無情の感情に導かれ
定められた寿命だと あきらめさせる

コロナ禍は
死に逝く者にも
死を送る者にも
大きな禍根を残して
現世に生きること 死ぬことの意味を
悲歎のうちに問いかける

過去病原菌により
幾多の大量死をもって
その制裁を受けてきた人の世も
長い闘いの果てに
医療科学•技術の発達と 医療者への信頼により
病原菌の根絶や その共生を実現し 
長寿社会を獲得してきた

新型コロナは 移動する人を媒介に
世界中に撒き散らかした
医療だけではなく
経済も 産業も 教育も 福祉も 
みな機能低下と機能不全を起こし
もとの暮らしには戻れないほどの
痛烈なダメージを 与え続ける
収束の見通しすら 全く立たない
厳しい試練の連続と負の連動

人の死は 個人の死ではなく 
社会を構成する人の死となった
新型コロナによる 人智の及ばぬ自然の猛威に平伏し
自然死として 受け入れなければならないのか
それでも 幾多の犠牲を乗り越える道筋に
自然から授けられた 変化に強靱に対応する
人類の生命力が 蘇ってくるのだろうか
この危機を読み切れない ジレンマからの脱出は
人間のたゆまぬ叡智しかない それしかない
それを どのように結集するのか

自国の利欲に凝り固まった
米中ロシアの権化が統治する 世界であってはならない
消毒液まで飲まそうとする 狂った指導者に追従する
日本の腰巾着もどきの指導者も 覚醒し覚悟せよ
うそいつわることなく 公正明大な言動を示すしか道はない
その覚悟なくして 右往左往するだらしなさが
いっそう不安と恐怖を増幅させ 亡国の僕となる
世の政治家よ その政治生命をいまこそかけよ

コロナ禍の病死が 自然死としてカウントされぬよう
最善の対策を取るには 前代未聞の事態への
最悪を想定した想像力こそ求められる
その信託に応えるのが 政治家本分たれと知るべし
その姿カタチは いま全く見えないのは
安全地帯へ 待避しているからか
なにもせぬなら バッジを外せ
いやがおうにも いま頼れるのは
情けないほど 劣化した者たちしかいない
これが戦争に比する 残酷な事実である

〔2020年4月26日書き下ろし。腰痛を再発。半年ぶりに寝ながら執筆。書くことでポジティブになれるのは幸いだ。辛口は痛みにより辛辣になる〕