道産の食と人を誇る

2月 ビニールハウスで育てられた 知内産のニラが出荷された
しゃぶしゃぶが 一番シンプル 甘みも抜群 ポン酢でいただく
道産豚の餃子の具にすると 香り立ち 食欲をそそる
十勝の大豆を使った 中札内村産の木綿豆腐を湯豆腐にして 
そこにニラを入れるのは 我が家の定番
当然出汁昆布は 北の離島の礼文昆布

米は メジャーになった〈ゆめぴりか〉
あきたこまちや新潟のコシヒカリにも 匹敵する
10年来長沼町の米農家から直接購入 
自宅の小さな精米機で 食べる分だけ精米する
炊きたては おかずいらず
塩むすびなら 米のおいしさを見事に引き出す

コロナ禍は 道内の食料生産と供給を 窮地に陥れる
すすきのの歓楽街や 市内の多くの飲食店の灯が消えると
消費されることなく残され 市場は機能不全を起こす
だから 酪農業は生産調整するか 出荷をセーブする
漁師は それが難しい
旬の魚を獲らねば 暮らしが立たない
冷凍可能な魚もあるが やはり旬で味わいたい
4月 群来のニュースが流れた時には こころ踊った
さっそく市民生協コープで物色し 数の子が入ったニシンをゲット
いつもなら 白子で膨らんだオスが並ぶ
数十年ぶりに 軽く塩を振った焼きたてを しみじみと味わった   

札幌円山公園のサクラ開花宣言の前日 みどりの日
近くのスーパーマーケットで 旬の魚を求めた
苫小牧沖の大きな子持ち黒ガシラ 破格の値段!
煮付けにしよう
増毛の浜で上がった甘エビ 
炊きたてのゆめぴりかの上に並べて 生甘エビ丼にする
生寿司のパックに 目がいった
毛ガニ いくら ボタンエビ ホタテ ホッキ貝 シャケ など
ついでに 大好きなイカの塩辛が安かった 
お茶漬けの具材に 重宝する
森町に単身赴任で暮らしたときには
「イガー、イガー」と 
朝っぱらから イカ売りのスピーカーで起こされる
鍋を抱えて走り イカ売りの車を探す
朝から イカそうめんにして食す
イカゴロや足や耳は 塩からの具材にするか 
塩を振って冷蔵庫に放っておき 夜バターで炒めて酒の肴に変わる
近年イカの不良で 塩辛も高くなった
いまは 新鮮なイカを買うのも躊躇する

コロナ禍で 意気消沈してられない
気力と体力を維持しアップさせるには 北の海の幸が一番
買い込んだ食材で 久しぶりの贅沢を決め込む
食卓に並んだ 海の幸を肴に
酒は釧路の地酒福司 
2月に会った釧路の友からの贈り物
妻の優しい味付けに 煮付けた黒ガシラは絶品 唸る
デザートは 隣町の江別の洋菓子店
〈ガトー・ド・ノポロ〉のゆりねのモンブラン 
上品な甘さと口当たりのいいやわらかさ
お店で二人で食べれば 1万円では足りないリッチな食事
外出自粛で 自宅での楽しみ方が一つ増えた
いい気分転換になった 

道産子でよかった
新鮮な食材が 身近に豊富にあることに尽きる
その食材を用いた 料理のバラエティーは半端ない
生産者の地道な研究と労働に支えられ 
多くの調理職人の味覚と創造力 そして確かな技によって
食する喜びを 与えていただく
彼らが決して 窮地に陥らぬよう 
北の食文化が 未来永劫豊かに紡がれるよう
祈らずにはいられない
 
いただいた食材の命に感謝
食材を精魂込めて 市場に送り出した方々に感謝
それを食品加工したり 搬送し販売する方々に感謝
さらに食に関わる 全ての人に感謝
そして コロナ禍で一日を無事終えたことを
妻と共に感謝したい

食する事への感謝とは 
いま生かされている喜びを 強く心に刻むことでしかない

〔2020年5月1日書き下ろし。道産の食と人を自慢したい。それが活力の源であることは間違えない。命と暮らしを支える皆さん、コロナ禍に負けず頑張ってください!〕