ベンチャー(新興企業)が 雨後の竹の子のように増えていた
大学では 産業界との
共同プロジェクト(新しいものを考え出し実用化するための研究や事業)や
インキュベーション(起業支援)を手がける
学外連携推進を図る 産学協同も進む
その研究や事業は 経済的発展ばかりではなく
サステナブル(人間・社会・地球環境の持続可能な発展)な
社会の実現に向けられてほしい
17のSDGs(エス・ディー・ジーズ:持続可能な開発目標)が
2015年9月 193国が参加した国連サミット(主要国首脳会議)全会一致で採択
「持続可能な開発のための2030アジェンダ(国際的な取り組みについての行動計画)」
貧困 飢餓 環境問題 経済成長やジェンダー(歴史的・文化的・社会的に形成される男女の差異、社会的性差)までの 幅広い課題が網羅された
豊かさを追求しながらも 地球環境を守り
「誰一人取り残さない」ことを強調し 30年までの目標達成に挑む
世界を席巻するコロナ禍の勢いは その目標も実績をも 無残にも挫(くじ)く
・あらゆる場所で あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
〈貧しき者弱き者たちには その牙をむくウイルスは非情となる〉
・飢餓に終止符を打ち 食糧の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに持続可能な農業を推進する
〈生産しても消費が滞る悪循環は 食料生産や食品加工そのものにダメージ(痛手)を与え続ける〉
・あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し福祉を推進する
〈その可能性は どんどん後退・低下する一方である〉
・すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し生涯学習の機会を促進する
〈学校すら休校となり 貧しい国では学習機会もどんどん奪われていく現実に、なすすべを持たぬ国が将来へのダメージを被る〉
・ジェンダーの平等を達成し すべての女性と女児のエンパワーメント(力をつけること。女性が力をつけ、連帯して行動することによって自分たちの置かれた不利な状況を変えていこうとする考え方)を図る
〈ジェンダーは改善されるよりも さらなる経済的格差が進み 教育の後退が加速される気配を感じる〉
・すべての人々に水と衛生へのアクセス(接触、接続)と持続可能な管理を確保する
〈コロナによる環境衛生や安全な水へのアクセスは より困難と予想される〉
・すべての人々のための持続的包摂的かつ持続可能な経済成長 生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事。労働条件・やりがい・安全性・公平性など、働きながら生活するときに望まれる状態を全体的にとらえたもの)を推進する
〈米国の失業者2050万人 失業率14.7% 戦後最悪 長期化する雇用の激変は世界に波及し ディーセント・ワークの保障はほぼ不可能に陥る〉
・レジリエント(弾力、復元力、また病気や災害などからの回復力。強靱さ)なインフラ
(インフラストラクチャー:経済活動や社会生活の基盤を形成する構造物。ダム・道路・港湾・発電所・通信施設などの産業基盤、および学校・病院・公園などの公共の福祉にかかわる施設が該当)を整備し 包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに イノベーション(技術革新。新機軸。経済学者シュンペーターの用語では、経済成長の原動力となる革新。生産技術の革新、資源の開発、新消費財の導入、定産業の構造の再組織などをさすきわめて広義な概念)の拡大を図る
〈コロナ禍後の 人間のレジリエンスな生命力と レジリエンスなまちづくり・国づくりに期待するしかない そこにいたる道のりは未知・未定である〉
・国内および国家間の不平等を是正する
〈この不平等・不公平さはより歴然となり 利害闘争の火種となりうる〉
・都市と人間の居住地を包摂的安全 レジリエントかつ持続可能にする
〈国内・国外の経済的貧富の格差は広がり 暮らしをさらに深く分断する〉
・持続可能な消費と生産のパターン(類型、様式)を確保する
〈消費も生産も アウトソーシング(海外で部品を安く調達すること。国際調達。海外部品調達)の再構築を余儀なくされ 新しいパターンも生まれるだろう〉
・気候変動とその影響に立ち向かうため緊急対策を取る
・海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し 持続可能な形で利用する
・陸上生態系の保護 回復および持続可能な利用の推進 森林の持続可能な管理 砂漠化への対処 土地劣化の阻止および逆転 ならびに生物多様性損失の阻止を図る
〈環境悪化は避けられない コロナ禍後その余力が残っているかが 全てである〉
・持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに あらゆるレベル(水準、標準、段階)において効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
〈いまこそメディアリテラシー(新聞・テレビ・ネットのニュースに対する知見、知識だけではなく必要な情報を判断する能力)を発揮して あぶり出された事実を根拠に 人間や世界・国・社会の問題に、向き合うことから始めなければならない〉
・持続可能な開発に向けて実施手段を強化し グローバル・パートナーシップ(世界的問題解決のための提携や協力関係)を活性化する
〈アメリカが中国のウイルス研究所が発症源だと難癖つけて抗議しているようじゃ埒あかず 日本の政府も韓国の検査態勢にケチつけるのもバカげてる これが日米の指導者のレベルだとすれば 悲劇だ〉
SDGsが手元にあるだけでも 世界にとって幸いである
オーバーシュート(感染者の爆発的増加)したコロナ禍を
乗り切るための 共通のエビデンス(根拠・証拠)がここにある
グローバル・パートナーシップの確立こそ 喫緊のなすべき行動である
敵対行為のための 武器の開発に余念のない指導者は
リスペクト(尊敬、敬意)されることはない
協働よりも 非難を浴びせて保身を図る指導者は
リスペクトされることはない
本気で伝染病への対応を見せぬ指導者は
リスペクトされることはない
情報をコントロール(制御、統制、管理すること)し 反論を弾圧する指導者は
決して リスペクトされることはない
コロナ禍が 世界に与えたインパクト(物理的、心理的な衝撃。その影響や印象)は
計り知れないほど 深く強く大きい
心のロックダウン(公共施設などで、外部からの闖入者に対して内部の人間の安全確保のため建物を封鎖すること)を解除するためにも
一人ひとりが 新たなレガシー(本来精神的・物理的遺産の意であるが、近年後世に業績として評価されることを期待する意にも用いられる)を創るために
いま 何をなさねばならないのか
カオス(混沌・混乱)化した世界に 生き残るために
現実を直視し 正しく理解する力を 身につけなければならない
世界を見る・感じる・考える力を 身につけなければならない
行動する力を 身につけなければならない
その歴史的変革期に 一人ひとりが生きているのだ
そのことだけは否定できない 確かな事実である
グローバル・パートナーシップは 政治家たちの特権ではない
世界の民が手にするための チェレンジ(課題)である
それこそ 国をあげ世界をあげて 挑むしかない
人類の希望への 道程である
〔2020年5月9日書き下ろし。5月2日付の朝日新聞「近頃のカタカナ語は許容できるか」という記事に触発されカタカナ語を多用し、SDGsをテーマにいまの難局を語ってみた。日本語では訳しきれない言葉の限界を知らされる〕