無上なるもの

悄然(しょうぜん)と 立ち尽くす
視界が遮(さえぎ)られ 
鬱蒼(うっそう)とした静寂な森に入るように 
光明の見えぬ不安と恐怖心で 足がすくむ
それでもなお 半歩進まねばならぬ

世界を覆った 残忍な新型コロナウイルス
自然の脅威に 晒され振り回される
誰かまわず無差別に 音なき殺戮を繰り返す 
このまま立ちすくんでいれば 多くの死者を見送る
躊躇(ためら)い 苦悩(なや)みながらも
もどかしさを振り切って
半歩前に踏み出し 闘いに挑む

その勇気は
信頼という名の無比なるもの
その決断は
確信という名の無二なるもの
その行動は
信託という名の無我なるもの

そこで為される施政こそ
共存共生という名の無上なるもの

〔2020年5月14日書き下ろし。いま指導者に求めたい。前に進むための指導力がほしい〕