コロナ禍から暮らしを護る

目が薄くなってきて 字がかすれる
もう読むことは あまりない
耳が遠くなってきて 声が聞き取れない
何度も聞き返すから 怒鳴られているようだ
動作は緩慢(かんまん)になり 外に出るのも億劫(おっくう)になった
食も細くなり 給食が一番のご馳走となった
一日のお相手はテレビ 話しかけても返事はない
一人暮らしも もう十年
いろいろお世話いただいて 感謝しかない
今日まで無事に 暮らしてこられた
誰かの呼ぶ声がする

「こんにちは いたかい!」
今日は 十万円の申請でお邪魔した
案の定 役場の通知は置きっぱだった
きっと困っているだろうと 御用聞きにうかがった
申請のことを教えて 二人で書き込み作業
後は投函して 入金を待つだけ
その時一緒に郵便局に行きましょう
安心した顔を見て ホッとした

コロナ禍のニュースを見ては心配で
じっと家で過ごしていた
買い物も病院も出てはいけないと自重する
それでは 身体を壊してしまう
コロナ禍で人のつながりが希薄になって
不安を抱えて家にいた

コロナ禍でこそ 民生委員の心・意気
正しい情報を伝えることと
少しでも不安を和らげるのが 私の仕事
マスクの下に 笑顔を隠して
明るい声で
「こんにちは 大丈夫!」
今日も大事なお役目果たします

〔2020年5月18日書き下ろし。全国の民生委員の活動にエールを贈りたい。地域で懸命に暮らしを守る人がいて、地域も頑張れるのですね〕