何をか求めん

確証は何一つない
糸口を探す
何を求めているのかすら
ボケてしまうような
漠然とした気分をかもす

手がかりすら疑わしい
とっかかりを探す
何を求めねばならぬのかすら
つかみきれないような
判然としない気分が襲う

無能だとわきまえていても
やり始めたからには やめられない
ここでリタイヤすれば
全てが無に帰す

確信はまだ持てない
思索の迷い道を
行きつ戻りつ 立ち止まり
時に思考停止に陥る

一筋の光明もいまだ見えない
混濁した世界の淵に
片っ端から言葉を 投げ捨てながら
時に立ちすくみ震える

何をか求めん
生きたいという自問は
解のない堂々巡り
書きたいという渇望は
存在が無になることへの反動

何をか求めん
内なる世界の 時間に囚われし戦慄
つまずき おののき 苛なまれながら
生きるを描く不思議を いま生きる

〔2020年8月26日書き下ろし。限りある命の時間と貧しい表現力に妥協しつつ、書く事への渇望が続く〕