積丹半島の突端 神恵内(かもえない)村
「地形がけわしく 人が近づきがたい神秘な沢」
アイヌ語の「カムイ・ナイ」(美しい神の沢)が語源だった
9月30日現在 男395人 女428人
総人口823人 高齢化率約44%
令和2年度予算39億8670万円(神恵内村HPから)
昨日積丹半島を巡った
積丹町から峠越えで半島の南側に出た
山中の平たい場所は 農業を営む集落が点在していた
廃屋が野ざらしにされ 荒廃も目についた
神恵内の市街地に下りる
観光PRや寿司屋の看板も 目に入る
観光を当てにしてきた村の振興策も
今夏は コロナで冷え切ったことだろう
9月8日村商工会は 文献調査への応募検討を求める請願を村議会に提出した
村議会は 17日の本会議で継続審査を決めた
国と原子力発電環境整備機構(NUMO)に最終処分について住民に説明するよう求めた
10月8日 たった1ヶ月で村長は応募を表明する
20億円の魅力は 村の年予算の半分 背に腹はかえられぬ
判断は 容赦なくなされるであろう
ただ一時金の20億円で何を変えようというのか
過疎地人口増 ありえない
観光振興 辺地遠地の弱点の克服 いままでもしてきただろう
漁業農業振興 担い手不足と高齢化に歯止めはかけられない
道の駅の地産販売物品 人が寄らないだけにやけに侘しい感が漂う
高齢者対策 介護保険サービスの質の確保と提供する人の確保はどうするのか
子育て支援 若い世代が離村しないための有効な手立てはあるのだろうか
暮らしの支援 問題を抱えた世帯の生活支援の方策はあるのか
国の地方活性化事業が失敗したツケを多くの地域が強いられる
カンフル剤にしか過ぎない20億円
何かを変えることが出来ると信じる人たちがいる
過疎地の問題を先送りするだけことだろう
核のごみの処分場調査だけで 一時潤うだけなのか
それとも 本格的な着工にまでいきつくのか
漠然とわいた疑問
その決定を
千人にも満たない村民に信託することができるか
日本海は低気圧の通過した後の余波で
沖から白波と強風を誘って
岩礁を打ち 波しぶきをあげていた
サーファーが波に乗り戯れていた
沿岸は奇岩がパノラマのように展開する
寂れゆく集落を ダイナミックな自然の景観が圧倒する
張り出した絶壁の下に 小さな漁港が点々とあった
今朝岩内町の高台から 積丹半島を眺望する
右手に 泊原発の白いドーム型の発電所が異彩を放つ
その先に 細長く神恵内村が地勢をつくる
この村のどこに核のごみの最終処分場をつくろうというのか
泊原発との関係も取り沙汰される
先に名乗りを上げた寿都町は、この海岸線をともにする町である
そもそもの最終処分地問題を どう解決しようとするのか
国は 抜本的に問われている
神恵内の表明決定は 果たしてそれだけだろうか
北海道の大地は いったい誰のものなのだろうか
千人にも満たない住民に
国はなぜ北の大地を汚す決定をさせるのか
国が詭弁を弄するのはお手のもの
国は札びらを切って なぜ理不尽な決定をさせるのか
その口車に乗って 北の大地と子どもの未来を失っていいのだろうか
自然からのギフトではない
内地から拒否されている悪魔のギフトは いらない
一地方自治体の権限ではなく 全道民の問題である
道内にある多くの「カムイ・ナイ」を
これ以上汚してはならない
〔2020年10月4日書き下ろし。積丹半島の小旅行から戻りおもいを綴る〕
付記
「神恵内8日にも応募表明 核ごみ 村長、請願採択後」
後志管内神恵内村議会は2日、村議全8人で構成する総務経済委員会を開き、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査への応募を求める村商工会の請願を採択すべきだと決めた。高橋昌幸村長は8日にも臨時村議会を招集し、請願は本会議で正式に採択される。村長は委員会後、「議会の議決は尊重しなければいけない」と述べ、請願が本会議で採択され次第、調査に応募すると正式に表明する考えを示した。処分事業の主体となる原子力発電環境整備機構(NUMO)によると、最終処分場選定に向けた調査受け入れを求める住民の請願を地方議会で正式に採択すれば全国初となる。(北海道新聞2020年10月3日)