陰湿ないじめ

昨年確認された いじめの件数61万件超
過去最高は 積極的に実態把握の成果だと文科省
2割は 命や長期欠席に関わる重大事態
対応遅れで 悪化のケースも少なくない

道内では 2万4千件を数えた
判明したきっかけは アンケート調査 
教員が見つけたのは 1割に満たない

重大事態が 2割発生していながら
教員が気づいたのは 一体その何割なのか
先の1割よりも きっと数値は小さくなる

道徳教育の効果も 薄いのは当たり前
国語の読解さながらの授業で
心を育てようとは 笑止千万
教科書でしか教えぬ徳は 心に響くはずはない

教育の専門家だから いじめに対処できるなんて 嘘っぽい
早い段階で把握して 解決のために指導するって ほんとかな
調査しなきゃわからなかったと 言い訳めいて受け入れがたい
ほとんど気づかずに 放置していただけのこと

教員だからと 過信してはならない
あれもこれもを処理する能力は 決して高くはない
能力以上のものを求めても 無理な要求であるのは確かだ
学力向上にシフトして 生徒指導がおぼつかない
いじめを見つけたら 一人で決して抱え込まないでほしい
出来なければ 学校そのものが機能不全に陥っているだけのこと

子どものために一生懸命汗かくかどうかの 区別はしておこう
えっ 自分の子どもに不利かどうかで 判断するって
先生って その時々に上手くつき合うだけのこと
学校と揉めても面倒くさいし お互い根に持ってしまうから
先生との距離は 適当に取っておくのがいい
割り切ってつきあうしかないのが いまの学校の現実か

問題は 調査は子ども対子どものいじめという前提にある
教員対子どもの問題は どれだけカウントされているのだろうか
果たして教員のいじめを書けるだろうか
書いても 子どもの戯言(たわごと)と握りつぶす
指摘されても 誤解だと釈明する
子どもは その後が怖くて学校に行けるはずはない

そもそも恐ろしくて 書けるはずはない
問題教員は自覚することなく 仲間も黙認して放置する 
問題教員の指導は いつか正当化され立場の弱い子らに君臨する
かつ熱心な先生という評判までついたら もう手に負えない

露見すれば 学校は指導の正当性を主張し弁明する
証拠が挙がれば 仕方なく指導の行き過ぎでしたと 謝罪する
そもそも子どもに寄り添えるかどうかに 生徒指導の本質が問われる
それで一件落着かと思えば アホな教員はまた繰り返す
そこに校長の管理能力の欠如と 教員個々の無干渉の体質が露わになる
学校の隠蔽体質は なかなか改まらないことを承知しておこう
教員のいじめは 決してあってはならぬこと
「ない」という前提への疑問を 提起したい

子どもには 良き大人に出会って欲しい
教育者としての力量と人間性を高めようと
日々頑張る人がいることを 信じたい
いじめられている子どもらの 拠り所になってほしい
「忙しい」という言い訳は もう通用しない

〔2020年11月1日書き下ろし。10月24日文科省から発表されたいじめの統計から、ここには表れない「指導という名のいじめ」に許しがたき強い憤りを感じていた〕