背負い込んだ重さ

断り切れない人の頼み事
不承不承で引き受けた
民生委員の活動とその役目
責務の重さに目眩(めまい)した

問われる人柄と教養
持ち合わせのなさに 逃げ出したくなった
ましてや 赤の他人とのコミュニケーション
経験値もノウハウもなく 寡黙になった
  
活動を支えるものは何だろう
福祉の専門知識
事務処理の適切な能力
仲間との上手なつき合い
当事者との信頼関係づくり
町内会や社協とのつながり

大事なことだけれど
身につけるには おいそれとはいかない
だから余計に 出来ない自分が恨めしかった
活動が重たいと いつも感じていた
人と向き合う自信は いま一つなかった
モチベーションが低いと知りつつも
幾多の学びの機会と活動を得て
心の重荷を いくらか軽くしたいと願った

背負い込んだ重さは
思い込みの頑なさ
心の器量の狭さ
世間とのつながりの薄さ
そして 人と社会への関心の低さ

あるとき はたと気がついた
気の重さが その分相手の重さとなることを
冷めた言葉が 相手の弱くなった心を刺すことを
事務的な対応が 相手の警戒心を強めることを

自身を理解することなしに
相手と向き合うことの 気恥ずかしさを知る
自身を高めることなしに
相手に添うことの 思い上がりを知る
自身の心の弱さを知ることなしに
相手と対等になれぬことの 口惜しさを知る

心の負担は モチベーションのバロメーター
活動へのためらいも
関わることのしんどさも
続けることのことわりも
こころ模様と気力に表れる

心の負担は なくなることはない
相手の心と暮らしに 添うことで
心の痛みが 伝わってくる
不安や求めが 見えてくる
地域で生きることのしんどさを 感じる
でも 安堵した笑顔が 素直な喜びとなった

人により 与えられる〈学び〉は
迷いに始まり 人の道へと誘う
情に始まり 情感を豊かに耕す
出会いに始まり 人生をさりげなく彩る 

〔2020年12月5日書き下ろし。道民児協主催の初任者研修講師をなぜ引き受けたのかを自問自答している。いまは1月末から開始される全道9カ所での無事の開催を願うだけ〕