子らが導く世界へ

子らは いまの時代に生まれて仕合わせなのか
どうしても避けられない 困難を抱えたコロナ禍社会
もがきあえぐ子らに さらなる試練と苦痛を容赦なく与える
耐えて忍ぶ子らに 母のぬくもりだけが救いとなる

乳飲み子を抱えた母に 産後鬱の病魔が襲う
呑み込まれぬよう 自死への誘惑を拒否する
まるで天使のようなまなざしに ときに己を取り戻す
泣き声に疲れた母は 一時の安らぎを求める 
されど 人とのつながりを断絶され孤立する

しばれが融けぬこころの澱に 惑わされ
苦々しくおもいも立つが 堪(こら)えて生きる
辛抱強さが この子に鍛えられる
つかの間だけど この子の満面な笑顔に救われる
かわいさが愛しさに深まる この子を授かった喜び
凜として生きることの不思議な力を 与えてくれる

遠くない明日に きっと仕合わせになれると信じて
夢中になれる子育てを 与えてくれた喜びに感謝する
今日も幼児(おさなご)が導く世界に 心遊ばそう
明日の元気をもらおうと ハグする両手に力が入る
親になった喜びと子育ての苦楽を たくさん味わいながら
運命と諦めず コロナ禍の不安を逞しく乗り越えたい

まだまだ収束しないまま コロナに翻弄されて年を越す
健気(けなげ)な幼児を護る母たちの奮闘は これからも続く
涙と笑いをかもす幼児たちは 慈愛の世界を繰り広げるだろう
いつしか 母と子の織りなす心が 仕合わせづくりの道へと導く

〔2020年12月28日書き下ろし。子どもの数が減少することを嘆くよりも、子育てをしっかりと社会が担わなければならないことを知らしめよう〕

付記
今年の出生数、85万人割れ見通し コロナで少子化加速
日本の少子化に歯止めがかからない。今年の出生数は昨年を約1万7千人下回り、85万人を割り込む見通しだ。統計を始めた1899年以降で最少となる。新型コロナウイルスへの感染が拡大する中、妊娠の届け出件数は前年を下回って推移しており、来年の出生数は80万人を割り込むとの見方も出ている。
今年1~10月の出生数(速報値)は、前年同時期を約1万7千人(2・3%)下回って推移している。厚生労働省は10月までの出生数のほか、死亡、婚姻、離婚の届け出数などをもとに、年末にその年の人口や出生数などの推計を公表している。今年は「新型コロナの影響で不確定要素が多い」として公表を見送ったが、出生数について例年の計算式に基づいて推計すると、今年は前年比2%減の84万8千人程度になる。初めて90万人を下回って「ショック」と言われた昨年の86万5239人からもう一段、落ち込む公算が大きい。
国内の出生数は、第2次ベビーブームの70年代前半以降は減少傾向が続き、16年に戦後初めて100万人を割り込んだ。国立社会保障・人口問題研究所が17年に出した人口予測では、出生数の90万人割れは20年、84万人台になるのは23年と見込んでおり、想定を超える速度で少子化が進む。(朝日新聞社 2020年12月28日)