真剣なまなざし~道民児連民生委員児童委員初任者研修レポート その1

90分の初任者研修が始まった
民生委員になって 1年前後の14名が参加した
道独自のコロナ感染対策の影響で
道内で実施予定の研修は すべて中止となった
規制解除のお陰で 1年ぶりに再開した

本来研修は グループワークを中心とした
130分のワークショップ形式で 実施してきたものである
感染予防が徹底されて ようやく実施にこぎ着けた
受け入れた市民児協関係者の熱意と誠意ある協力に感謝したい
また今回は 市内の地域単位の民児協の役員も参観してもらった
この研修プログラムが新任だけではなく 現任者にも活用できるのではないか
その可能性を見極めていただくために 10名の役員に足を運んでもらった
さらにこのプログラムを一般化して
単位民児協でも活用できる「研修マニュアル」を作成するために
登別市社協から二人の若手社協マンに協力を依頼し 参観してもらった
学びに対する若い感覚と 社会福祉士としての専門性をもって作成に挑む

人間関係を円滑にするために情緒性をいかに高めるのか
活動へのモチベーションをいかに高めるのか
個々が問題意識を確かめながら課題を明らかにする
テキストに自作の40編の詩が用意された
ただ 参加者同士の会話すらできなかった
学校形式に机が配置され 講義調にならざるを得なかったのだ

最初に〈8926〉という数字を板書した
毎日加算されてきたコロナで命を落とした人の累計である
数ではなく 一人ひとりの人生に心馳せてほしいと願った
犠牲者の冥福を祈りながら
詩「さよならも言えずに」の朗読から始める

次の詩「背負い込んだ重さ」は 自己葛藤から始まる
この研修に参加するまで
たくさんの不安と疑問を抱えて 活動してきたであろう
せめて その心の負担を少しでも軽くして
先の見通しが立つのならと 小さなおもいを抱きながら
民生委員を引き受けた時の心境から 迫ることにした
しくじりの詩でもある
自身の気の重さが 相手の重さになることへの気づき
冷めた言葉が 相手の弱くなった心を刺すこと
事務的な対応が 相手の警戒心を高めること
相手に添うという 難しさを引き受けながら
少なからず 負担はなくなることはない
しんどい関わりから 与えられる人としての〈学び〉は
迷いに始まり 人の道へと誘い
情に始まり 情感を豊かに耕し
出会いに始まり 人生をさりげなく彩る

参加者の表情が少しずつ真剣味を帯びてきた
ようやく 60頁に及ぶテキストに入ってゆく
「情緒は私を支配する。論理よりも強く」(伊藤整)
そのことを確かめるために
情緒感を揺さぶる本題へと向かっていった

※「さよならも言えずに」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年12月8日アップ
※「背負い込んだ重さ」:ブログ「鳥居一頼の世語り」2020年12月6日アップ

〔2021年3月25日書き下ろし。4ヶ月前に刷り上がった研修テキストのお披露目は、会場や時間、方法の制約の中でようやく実施された。その様子をレポートしていきたい〕