東京五輪2020から 何を学んだのか
批判が 金メダルで弛(ゆる)むようなら思う壺だ
IOCは何をしたのか
五輪憲章を踏みにじった金儲けの祭典は 忘れてはいけない
政権は何を強いたのか
コロナ対策を疎(おろそ)かにして 開催に前のめりなった挙げ句に
緊急事態宣言を全国に発出した失態を 今秋まで覚えておこう
どれだけの犠牲を払ったのか
莫大な血税を搾取(さくしゅ)され 借財を抱えなければならない
コロナで生活が困窮し 愛する人の命を奪われた
踏んだり蹴ったりされながら 規制強化に知事会が動く
危機管理不能で不信を纏(まと)う者らの迷走は エンドレスか
2030冬期五輪
札幌は誘致に動いた
何のためにやるのか
誰のためになるのか
何が得られるのか
どれだけの市税が浪費されるのか
いつ誰がどんな犠牲になるのか
鴨が葱を背負って IOCを喜ばす
血税が浪費され 市民は臍を噛む
誘致市長は対立の禍根(かこん)を残して 金満五輪に加担する
市議会も道議会も 誘致に賛同するならば
果たして 道民の反応はいかがなものか
次の選挙は 五輪誘致の是非で論議せよ
東京の二の舞は 御免被(こめんこうむ)る
30年まで残り9年
アフターコロナの世界の変貌(へんぼう)は 予見できない
10年周期で現れる新型ウイルスが 世界を脅かす
天変地異に見舞われ 自然環境は悪化する
大地は渇き作物は育たず 土地を棄て死の旅路への流民となる
政治や社会の問題が噴出し 内戦とテロが頻発(ひんぱつ)する
政治不信が募って 不安定な政権は腐敗していく
経済は低迷して 不景気と失業でさらなる社会不安がまん延する
世界は貧富の格差が拡大し 飢えと紛争は絶えることがない
多くの貧しき民の屍(しかばね)を踏んで 金の亡者たちは儲けに走る
世界に娯楽をもたらすスポーツイベントは いつの世も繁盛する
IOCの悪しき実態があからさまにされた
だれも美辞麗句に惑わされることなく 幻想は抱かない
だれも平和の祭典などと口にはしない
もうだれも人間尊重とは決して思わない
そこにあるのは 搾取する者とされる者の醜い関係だけだ
アスリートは 搾取する側の思惑の中で生かされる
競技場は 権力者とIOCの道楽の場と化してゆく
札幌五輪は その延長線上にしかない
地球の温暖化は 決して侮れない
そのことだけは 覚えておこう
地球上のすべての命が 危険に晒される
10年は 世界が変わるには十分な時間だ
いまよりも悪くなる想定の下に
政治も経済も動かなければならない
暮らしと福祉が蹂躙(じゅうりん)されぬよう
指導者は覚悟しなければならない
その覚悟のなさが いまの事態を引き起こしている
この批判こそ いつの選挙でも示威していこう
欲に塗(まみ)れた五輪など 決して許されない
札幌冬季五輪の誘致に
断固反対を表明する
〔2021年8月1日書き下ろし。札幌にマラソンを持ってきた汚いやり口を見る。駆け引きはすでに始まっている。いまから明確に五輪誘致反対を表明する〕
付記
IOCのからくり露呈「冬季」意欲の札幌どうする?
五輪とパラリンピックを開くために、開催都市は巨額の財政負担を強いられ、納税者に押しつけられる。ホスト国が借金を背負い込んでも、国際オリンピック委員会(IOC)は穴埋めする義務を負わない。コロナ禍で1年延期になった東京五輪で、日本国民は開催都市契約の内容がいかにIOCに有利に結ばれているかを痛感した。そのからくりは世界にも伝わったはずだ。(中略)
昨年1月、札幌市の秋元克広市長はスイスのIOC本部を訪ね、バッハ会長に30年冬季五輪招致への意欲を伝えた。札幌は会長から称賛され、相思相愛の空気が漂った。直後に世界をコロナ禍が覆い、動きは止まっている。東京五輪の迷走を経て、日本国民は五輪に懲りてノーを突きつけるのか。とくに札幌市民、北海道の人々は傍観は禁物だ。ブリスベンの例は外堀があっという間に埋まることを教えてくれる。(朝日新聞2021年7月31日)