海陽丸と散歩と見守り

檜山管内江差町鴎島に復元された海陽丸が係留されている
1866年オランダで造船された徳川幕府の旗艦
1867年4月海陽丸は150日の回航後横浜に入港
1868年鳥羽伏見の戦いに敗れた慶喜の大阪脱出にも出動した
大政奉還王政復古の大号令の中戊辰戦争が起こる
旧幕臣榎本武揚は幕府の艦隊を率いて決戦の場を蝦夷地に求める
海陽丸は江差を攻略するため海路で向かった
11月松前から陸路で来る自軍を待つ間に猛吹雪が襲い座礁し沈没する
明治新政府は榎本軍追訴令を発令し函館五稜郭に追い込み降伏させる
1869年こうして箱館戦争は終わった
NHK大河ドラマ「青天を衝け」の回想ともなったが
悲劇の旗艦はいまも江差沖で眠る

鴎島は地域の高齢者の格好のお散歩コース
連れ立つ人もひとりで楽しむ人もまちまちだけど
なってまだ1年足らずの若い民生委員の女性も散歩に訪れる
ここに来ると顔見知りの高齢者とも挨拶したり言葉がけもする
地域を回って歩くよりも日常の中で様子を垣間見ることができる
数日顔見てないなと気にかかると散歩中のご近所の人から情報が入る
観光地を舞台にそこで暮らす地域の人たちがつながっている
民生委員と構えることなく散歩という習慣が安否確認の場となる

日々の散歩で人が穏やかにつながる
健康づくりの散歩はそろそろ今年も終りか
コロナが治まり巣ごもりの季節が始まった
海陽丸まで座礁させた凍てつく日本海からの浜風を受け
新米の民生委員は訪問活動を再開させる

〔2021年12月6日書き下ろし。檜山管内での新任民生委員児童委員研修で紹介された。こうして日々地域の高齢者とつながっている場所があることと活動を意識することなくさりげなくしていることに心惹かれた〕