パターナリズムと福祉教育―“苦情”は制度等改善に関する“提案”である―

社会福祉実践者の中には、いまだに「~してあげる」というお節介を信条としている者も少なくないようです。社会福祉が内に抱えるこのようなパターナりズムから脱却していくための福祉教育が実践者にも求められています。社会福祉におけるパターナリズムの問題については、利用者が自らの問題について考える(自己決定)ことができるようにあらゆる情報を提供し、利用者の自己決定を尊重していくインフォームド・コンセントの理念に基づいて支援を行うことに加え、その際利用者の自己決定のリスクが高ければ、支援内容をよりサポーティブにしていけば、多少なりともディレンマは解消するだろうと思います。また、福祉サービスにおける苦情は、先生が述べられているように、苦情処理や苦情解決のためのシステムとして機能しているだけです。苦情が”貴重な情報”として扱われて、制度や政策の改善などにつなげていくためには、”問題解決を志向した批判的思考”を取り入れていくシステムに変えていくことが大切だと思います。その際、苦情は制度等改善に関する提案と呼称することにより福祉教育につながりませんか。
社会福祉実践にかかわる一市民

パターナリス゜ムと福祉教育をめぐって上記のようなコメントをいただきました。
福祉サービス利用者をめぐる(に対する)市民福祉教育のあり方について考える際の、重要な視点です。これまでありがちだった精神主義的な福祉教育論や、安易な実践活動のハウツー中心の福祉教育論などから脱却するためにも、留意すべき言説のひとつであると考えます。

付記
カテゴリー「まちづくりと市民福祉教育」に掲載されている「(10)パターナリズムと市民福祉教育」(2012年9月10日/本文)をご参照下さい。