Ⅰ 福祉教育史研究の現状と課題
出所:三ツ石行宏/福祉教育史研究の現状と課題/『日本福祉教育・ボランティア学習学会 研究紀要』Vol.22、日本福祉教育・ボランティア学習学会、2013年11月 、68~76ページ。
謝辞:転載許可を賜りました三ツ石行宏先生と日本福祉教育・ボランティア学習学会に衷心より厚くお礼申し上げます。/市民福祉教育研究所
Ⅱ 福祉教育は都合よいボランティアの
養成方法なのか?
―福祉マンパワー施策及び福祉教育の概念規定に焦点をあてて―
Ⅰ. はじめに
「ボランティアは都合よく利用されているだけではないか?」そのように、ボランティアに対して懐疑的な見方をする人は少なくはないだろう。たとえば、東京オリンピックのボランティア募集は「やりがい搾取」と批判され、ブラックボランティアとして揶揄されたことは記憶に新しい。社会福祉領域のボランティアについては、「『とり込まれた』ボランティア活動は、本人たちの意図とは関わりなく、結果として『安上り福祉』を支えることになってしまった」(田代, 2007, p.120)という指摘もある。
本学会(日本福祉教育・ボランティア学習学会)として着目すべき指摘は、阪野(1993, p.24)による「社会福祉の世界においては、いま行政によるボランティアの包絡化が進み、マンパワー対策の一環としてボランティアの確保と養成のための福祉教育の推進が図られている」というものであろう。篠原(2020, p.103)はより踏み込んで「福祉教育はややもすると国家責任としての社会福祉の転嫁の流れ、在宅福祉サービスの流れ、地域福祉計画などの計画化の流れに位置づけられ、無償ないし廉価な人材の育成に資する側面をもつ点への注意が必要である」と指摘をしている。
つまり、福祉マンパワー施策と福祉教育との関連が問われている。先行研究において、管見の限り、福祉マンパワー施策が福祉教育をどのように位置づけてきたかについて歴史的に明らかにした先行研究はない1)。そのため、本研究の目的は、まず福祉マンパワー施策が福祉教育をどのように位置づけてきたかについて、その政治的含意を歴史的に明らかにすることにある。日本社会福祉学会事典編集委員会編『社会福祉学事典』を見ると、「マンパワー・人材」に1章分、割かれているほど社会福祉領域で重視されていることが分かる。マンパワー・人材育成と教育は切っても切り離せない関係でもあるため、研究意義があると考える。福祉マンパワー施策が福祉教育をどのように位置づけてきたかについての結論を先取りすれば、福祉マンパワー施策における福祉教育の位置づけは、「ボランティアの確保と養成のための福祉教育の推進」(阪野, 1993, p.24)が主たる側面であったことにあり、それを実証的に跡付けることになる。ただ「ボランティアの確保と養成のための福祉教育の推進」は果たして、どのような意味を持っているであろうか。ネガティブなことであるのか、またネガティブな側面があったとしても、それを克服しうる方策はないのであろうか。本研究では、その問いについて考察することを、もうひとつの目的として設定する。
Ⅱ. 研究方法
研究目的の1つ目である、福祉マンパワー施策が福祉教育をどのように位置づけてきたかについて、その政治的含意を歴史的に明らかにすることにおいて、分析方法は次のものを採用する。すなわち「福祉教育を所与のものと予め設定するのではなく、(中略)答申や通知等において 、福祉教育がどのようなものとして語られているかを丹念に描き出していくこと」(三ツ石, 2013, p.74)を採用する。つまり、福祉教育の概念規定をいったん宙づりにして「言説に着目し、(中略)政治的含意を明らかにする」(三ツ石, 2013, p.74)方法を採用する。分析対象は社会福祉領域における先行研究で福祉マンパワー施策として俎上に載せられた施策とする。福祉教育の用語が全国的に最初に明文化して使われたのは、1968年全国社会福祉協議会による「市町村社協当面の振興方策」においてである(原田, 1996, p.75)。そのため、分析対象となる福祉マンパワー施策は1968年以降のものに限定する。
研究目的の2つ目は、「ボランティアの確保と養成のための福祉教育の推進」は果たして、どのような意味を持っているのか、ネガティブな側面があったとすれば、それを克服しうる方策はないのか、といった問いについて考察することである。研究目的の1つ目として、福祉マンパワー施策における福祉教育の政治的含意を明らかにするため、言い換えれば行政側の意図を明らかにするため、その概念規定については宙づりにしてきたが、研究目的の2つ目では実践者・研究者側から検討・構築されてきた福祉教育の概念規定を踏まえてボランティア(主にネガティブな側面)について考察を加える。
なお、本学会の論文投稿に関するガイドラインを遵守する。本研究のような文献研究は、当該ガイドラインにおいて、引用・剽窃に関する規定(第4条)、多重投稿・二重投稿に関する規定(第5条)、人権への配慮(第6条)が主として関わると考える。具体的には本研究では自説・他説の引用に際して引用箇所等を明示し、また引用に際して一次資料を確認して引用・剽窃に関する規定(第4条)を遵守している。本研究は、他誌への同時投稿、既刊論文(および既刊論文の内容との重複)ではないため、多重投稿・二重投稿に関する規定(第5条)を遵守していると考える。論文投稿前に、差別的あるいは不適切と考えられる用語はないかを改めて確認し、人権への配慮(第6条)を遵守していると考える。
Ⅲ. 福祉マンパワー施策における福祉教育の位置づけ
第Ⅲ章では、福祉マンパワー施策が福祉教育をどのように位置づけてきたかについて歴史的に明らかにする。戦後の福祉マンパワー問題は、大橋(1992)によると4期に区分される。福祉教育が福祉マンパワー施策にどのように位置づけられてきたのかを、基本的にはこの大橋(1992)の4つの時期区分に沿って検討していく。
1. 第1期および第2期の福祉マンパワー施策における福祉教育の位置づけ
第1期は、社会福祉主事の養成・確保をどのようにするかが問われた戦後混乱期から1960年代末までの期間である。この期は、行政整備と生活保護を中心とした経済的給付としての公的扶助が社会福祉における最大の課題であり、公的扶助を担当する職員の養成と研修が大きな課題であった(大橋, 1998, p.26-28)。第1期は前述のように、検討の範囲外である。
第2期は、「社会福祉施設緊急整備5ヵ年計画」に基づく社会福祉施設増大に見合う社会福祉施設職員の確保および養成に関する課題であり、おおむね1970年頃から1985年頃までである。この時期は、福祉事務所に就職することを想定している社会福祉主事の養成と、“社会福祉施設の近代化”の中で社会福祉施設に就職する生活指導員、ケアワーカーの養成のあり方とが混在している時期である(大橋, 1998, p.27)。この5ヵ年計画は、もともとは「新経済社会発展計画」にもとづき、その策定が求められ、1970年の中央社会福祉審議会の「社会福祉施設の緊急整備について」という答申を踏まえて策定されたものであり、保育所の整備や老朽社会福祉施設の建て替え等をその内容としていた。しかし、「社会福祉施設の緊急整備について」・「社会福祉施設緊急整備5ヵ年計画」のいずれについても、福祉教育という用語は使われていない。
ただ、第2期は、施設福祉から在宅福祉への転換期でもあるが、その転換に伴い、従来の社会福祉職員施策に関する問題では登場しなかったマンパワーの課題がクローズアップされてくる。それは、在宅福祉の固有の職員の確保、資質の向上と共に、ボランティアが重要なマンパワーとして捉えられたことである(小笠原, 1988, p.27)。たとえば、全国社会福祉協議会は1977年に「在宅福祉サービスに関する提言」を行い、在宅福祉サービスの重要性を強調し、それを担うマンパワーとしてボランティア等の確保と増員の必要性を指摘した。その「在宅福祉サービスに関する提言」であるが、「マンパワー対策」という項目の中に「福祉教育」の文言が見られる。すなわち「ボランティアの確保にとって,社会福祉の情報の提供と福祉教育の充実は不可欠である」という箇所である。この期から、福祉マンパワー施策の中でボランティアがマンパワーとして捉えられ、福祉教育が用語として使われ始めるのである。本節をまとめると、第2期の福祉マンパワー施策から、ボランティアがマンパワーとして捉えられ、福祉教育が用語として使われ始めるのである。
2. 第3期の福祉マンパワー施策における福祉教育の位置づけ
第3期は、1987年に成立した「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく資格制度とその養成が問われてくる時期である(大橋, 1998, p.27)。「社会福祉士及び介護福祉士法」は、1986年に東京で開催された国際社会福祉会議で日本に社会福祉専門職制度のないことが指摘されたり、日本社会事業学校連盟が大学における専門職員養成のガイドライン作りを進めていたこと等を背景に、成立した法律である(大橋, 1997, p.29)。『社会福祉士及び介護福祉士法成立過程資料集』(全3巻)を確認しても福祉教育の用語は出てこない。また「社会福祉士及び介護福祉士法」制定に変わった当時の厚生大臣のオーラル・ヒストリー(『斎藤十朗オーラル・ヒストリー』)を確認しても、福祉教育に関わる文言は出てこない。「社会福祉士及び介護福祉士法」を含む、この期の施策において、福祉教育の用語は見られない。
3. 第4期の福祉マンパワー施策における福祉教育の位置づけ
第4期は、ゴールドプランとの関係で問われているマンパワー問題である(大橋, 1992, p.26)。ゴールドプランにおいて、数値目標が立てられたことにより、それだけのマンパワーを確保できるのかという問題が浮き彫りになったのである。厚生省は介護需要の増大に伴い顕在化した福祉マンパワー問題等を検討するために「保健医療・福祉マンパワー対策本部」を設置し、1991年に中間報告をとりまとめるのである(大橋, 1997, p.29)
(1) ゴールドプランなどの計画等と福祉教育
ゴールドプランでは、在宅福祉推進10ヵ年事業としてホームヘルパー10万人等、また施設対策推進10ヵ年事業として特別養護老人ホーム24万床棟といった整備目標が設定され、さらには「寝たきり老人ゼロ作戦」の展開、在宅福祉等の整備の充実のための「長寿社会福祉基金」の設置などが掲げられた(秋元ほか編, 2003, p.123)。ただゴールドプランには福祉教育という用語は見られない。ゴールドプランは、1994年度中に出揃った地方の「老人保健福祉計画」で策定された整備目標を踏まえて作成しなおされ、1995年度からは「高齢者保健福祉推進10か年戦略の見直しについて(略称・新ゴールドプラン、以下この用語を使用)」になった。そして、この新ゴールドプランについては、福祉教育の用語が見られる。
新ゴールドプランにおいて、「介護基盤整備のための支援施策の総合的実施」として、「1.高齢者介護マンパワーの養成・確保対策の推進」から、「7. ボランティア活動・福祉教育・市民参加の推進」が7点挙げられている。そのうち7点目を見たらわかるように、福祉教育の用語が見える。そこでは、「ボランティア活動・福祉教育の推進」として「学童・生徒のボランティア活動の一層の推進を図る」とされている。
新ゴールドプランの後には、1999年に「今後5か年間の高齢者保健福祉施策の方向(略称・ゴールドプラン21。以下、この用語を使用)」が出された。ゴールドプラン21でも、福祉教育の用語は見られる。ゴールドプランにおいて、「今後取り組むべき具体的施策」として「(1) 介護サービス基盤の整備」から「(6) 高齢者の保健福祉を支える社会的基礎の確立」まで挙げられている。そのうち6点目の「高齢者の保健福祉を支える社会的基礎の確立」であるが、「長寿科学の推進」「国際交流の推進」に並んで「福祉教育の推進」が掲げられている。「福祉教育の推進」については「介護福祉士等の福祉専門職の養成を推進。あわせて、学童、生徒のボランティア活動を推進」とされている。「学童、生徒のボランティア活動を推進」となっており、新ゴールドプランの文言からの変化は見られない。
上記のように、高齢者関連の施策である新ゴールドプラン、ゴールドプラン21に福祉教育の用語は見られる。一方、児童関連の施策はどのようであろうか。1994年の「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について(略称・エンゼルプラン。以下この用語を使用)」、1999年の「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について(新エンゼルプラン。以下この用語を使用)」といった子育て支援計画はどうであろうか。エンゼルプランは,「子育てと仕事の両立支援の推進」など5つの基本的方向と「多様な保育サービスの充実」など7つの重点施策が示すものである2)。エンゼルプランの具体化として,大蔵・厚生・自治の3大臣合意により「緊急保育対策等5か年事業」が策定された。「緊急保育対策等5か年事業」において,保育の量的拡大等を図るために数値目標が設定され,計画的に推進することとされた。このエンゼルプランに福祉教育の用語は見られない。新エンゼルプランでは,「保育サービス等子育て支援サービスの充実」等8つの施策目標が示された3)が、福祉教育の用語は使われていない。つまり、エンゼルプランおよび新エンゼルプランといった子育て支援計画には福祉教育の用語は見られない。その他、障害者関連の施策はどのようであろうか。1995年の「障害者プラン――ノーマライゼーション7ヵ年戦略」は、リハビリテーションの理念とノーマライゼーションの理念を踏まえつつ、「バリアフリー化を促進するために」等の7つの視点から施策の重点的な推進を図るものである4)。しかしながら、障害者プランには福祉教育の用語は見られない。ここまでまとめると、高齢者に関わる福祉マンパワー施策には福祉教育の用語は見られるが、児童・障害者に関わる福祉マンパワー施策には見られないということである。
介護需要の増大に伴い顕在化した福祉マンパワー問題等を検討するために設置された「保健医療・福祉マンパワー対策本部」は、1991年に中間報告を取りまとめるが、その中に「次代を担う学童、生徒をボランティア予備軍として位置づけ、福祉マインドを醸成するための、福祉教育を推進する」(厚生省大臣官房政策課編, 1991, p.58)という文言がみられる。本項をまとめると、次のようになる。つまり、福祉マンパワー施策は、高齢者に関わるボランティア養成の方策として福祉教育という用語を使ったのである。
(2) 「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」と福祉教育
1992年に社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律(略称・福祉人材確保法、以下この用語を使用)が公布された。1995年には、福祉人材確保法に基づき、「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」(以下、福祉人材確保指針として使用)が告示された。この福祉人材確保指針も、福祉マンパワー施策に含まれる(潮谷, 2014, p.709)ので、この項で検討する。
福祉人材確保指針であるが、社会福祉事業は人を相手とし人が行うサービスであること、および将来的に労働力人口が減少すると予想されることから、従事者の処遇の充実、社会的評価の向上等、就業の促進および定着化を図るような施策について示している(秋元ほか編, 2003, p.401)。福祉人材確保指針において、次の2箇所で福祉教育という用語が使われている。1つは「第2 人材確保の目標と課題」に現れ、もう1つは「第4 国及び地方公共団体が講ずる支援措置」に現れている。以下、各々について、厚生省社会援護局の解説も見ながら検討する。
表1 「国及び地方公共団体が講ずる支援措置」の1つ
表1から福祉教育の位置づけの要点は次の2つに捉えられると思われる。1つ目は、社会福祉・社会保障に関する給付やサービス等の理解のための手段である。2つ目は、ボランティアという福祉のすそ野を広げるための手段である。なお、ボランティアは福祉専門職の前段階という位置づけでもある。続いて「第4 国及び地方公共団体が講ずる支援措置」に現れる福祉教育について検討する。
表2 「国及び地方公共団体が講ずる支援措置」の1つ
表2から福祉教育の位置づけの要点は、福祉の仕事に従事する者の社会的評価向上の手段であることが分かる。ただ、表1にも言えることであるが、「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」を参照せよとある。
「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」は福祉マンパワー施策ではないが、「福祉の担い手」について示している箇所があるので、その箇所について検討する。当該箇所は次のとおりである。
「福祉の担い手の養成確保の観点からは、総合的かつ体系的にサービスを提供す るために、福祉の専門職から一般のボランティアまで多様かつ重層的な構成をとることが必要であり、また、ボランティア活動の経験は、社会福祉事業に従事する者の業務への理解を高めるとともに、将来福祉の職場に参画する契機ともなり得る。さらに、社会福祉施設におけるボランティア活動を通じて、その介護や育児の技術等が地域に伝達され、住民の介護力等の向上の機会としても役立つ。」
上記の方策の1つとして「福祉教育・学習」が示されている。福祉人材確保指針と同じように、ボランティアという福祉のすそ野を広げるためであり、ボランティアは福祉専門職の前段階という位置づけでもあることが示されている。ここで新しく示されたのは次の2つである。一つは「社会福祉施設におけるボランティア活動を通じて、その介護や育児の技術等が地域に伝達され、住民の介護力等の向上の機会としても役立つ」であるが、もう一つは「総合的かつ体系的にサービスを提供するために、福祉の専門職から一般のボランティアまで多様かつ重層的な構成をとることが必要」である。その方策として福祉教育が位置づけられていることである。
なお「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」が告示された時期は低額な費用負担を伴う生活支援型のサービスがボランティア活動か否かという議論が生じた時期でもあり、一時、有償ボランティアという表現もみられたが、結局は住民参加型福祉サービスという整理に落ち着くことになった(原田, 2010, p.32)。当該指針では、住民参加型福祉サービス供給組織として福祉公社、消費生活協同組合などが挙げられ、それらの活動に対する国民の理解の増進に努める必要があるとしている。ただ、同指針では福祉教育の用語は使われていないし、また表2に福祉教育と住民参加型福祉サービスという両方の用語が見られるが、その直接的な関連について読み取ることは困難だ。
ここまで福祉マンパワー施策が福祉教育をどのように位置づけてきたのかを歴史的に検討してきた結果、基本的な流れとして、福祉教育はマンパワーとしてのボランティア養成の方策として位置づけられてきたことが分かる。主として高齢者に関わるボランティア養成の方策である。それも施設福祉から在宅福祉への転換期から位置づけられてきたのである。
その他、社会福祉・社会保障に関する給付やサービス等の理解のための方策、ボランティアという福祉のすそ野を広げるための方策、社会的評価向上の手段等の位置づけもあるが、「Ⅰ. はじめに」の問題意識に戻ると、注意すべき点は次の2点である。福祉の担い手は「総合的かつ体系的にサービスを提供するために、福祉の専門職から一般のボランティアまで多様かつ重層的な構成をとることが必要」〔下線引用者〕とされ、一般のボランティアが福祉サービスを提供することを求められていることが、注意すべき点のまず1点である。「ボランティアは都合よく利用されているだけではないか?」という疑問が頭をもたげてくる。もう1点は、福祉教育がマンパワーとしてのボランティア養成の方策として位置づけられてきたことである。都合よくボランティアが利用されることに福祉教育は加担しているのではないか、という疑問が生じる。次章において、これらの点について考察する。
Ⅳ. ネオリベラリズムと福祉教育
1. ネオリベラリズムが引き起こすボランティアに関する問題
福祉サービスをボランティアが提供することについて、まず考察する。「Ⅰ、はじめに」で触れた「ボランティアは都合よく利用されているだけではないか?」という疑問は、言い換えれば「ボランティアが単なる行政サービスの『穴うめ』にすぎない」(田代, 2007, p.123)のではないか、という疑問となろう。
もちろんボランティアは否定的側面(を想起させる面)ばかりあるわけでない。仁平(2005, p.485)によれば、ボランティア活動に対して国家や市場がもたらす問題への解決策として肯定的な評価がある。その一方でネオリベラリズム的な社会編成と共振するという観点から批判もある。ネオリベラリズムとは資本の蓄積・移動に対する阻害要因を取り除き、経済や社会保障領域への国家の介入を限定し、公的領域を準市場的に再編していくことを指し、米英を中心に1980年代頃から先鋭化してきた政治的立場である(仁平, 2005, p.487)。
仁平(2005, p.487)は、ボランティア論によって価値的に根拠づけられる特徴のうち、頻繁に参照される、①民主主義準拠性と②ケア倫理準拠性という2つを取り上げ、各々について、以下のように説明している。
「・民主主義準拠性:これまで公的なサービスや決定を行政が一元的に支配・掌握していたが、その官僚制および専門家による決定や事業運営は、非効率性や人々のニーズを捉えきれない等様々な失敗を生み出した。よって市民が参画していく必要がある。それはかつての反対型の運動とは違い、行政とパートナーシップを組みながら対案を示しつつ行う必要がある。つまり、まちづくりや学校づくりにボランティアが多く関わり、事業運営や政策立案の担い手として継続性を持ったNPOが参画することで民主主義は深まり、同時に、このような活動に参加すること自体に、民主主義を学習する教育的効果がある。
・ケア倫理準拠性:ボランティア活動が生み出す社会関係は、より根底的で前政治的次元の意義を有する。ボランティア活動とは苦しんでいる固有の他者の声に応答する活動で、共に人間という点で平等な地平にあるボランティアと被援助者は、相互の受容・応答関係によって人間としての尊厳を回復する。NPOはこのような活動に制度的根拠を与えるもので望ましいが、官僚制的・専門主義的な国家は画一的・手続主義的で、個別のニーズに対応できないし、承認のニーズに応えることもできない。」
ネオリベラリズムと①民主主義準拠性および②ケア倫理準拠性との共振問題について、仁平(2005, p.489-494)は次のように整理する。
まずネオリベラリズムと①民主主義準拠性との共振問題についてである。問題として、ボランティアやNPOの活動が公的サービスの縮小によって生じる財やサービスの不足分を補うものとして活用されることを指摘する。また、活動の活性化が、諸階級の闘争と妥協の結果として国家に権利として書き込まれてきた社会権を、自助・共助的努力の圏へと放逐する上での前提条件を提供するという問題も指摘する。このような問題については、行政の補完・下請けではなく、積極的に決定過程に介入することが推奨されるが、中野(2001, p.258)の「ここで浮かび上がっているのは、国家システムが主体(subject)を育成し、そのようにして育成された主体が対案まで用意して問題解決をめざしシステムに貢献するという(中略)まことに都合よく仕組まれたボランティアと国家システムの動態的な連関である」を引用し、決定過程に介入することも批判されうると指摘する。その他、決定過程に介入することについては、それを通して社会的不均衡が増大しうることも指摘される。市民の声が拡大されることは善とされるが、それが誰の声なのかという問題である。
次に、ネオリベラリズム②ケア倫理準拠性との共振問題についてである。政治思想的に見れば次のようなケア倫理の問題について指摘する。つまり、ケア倫理は、応答すべき/すべきではない声の線引きを特定の基準によって行わないが、すべての声に応答することは不可能なので、結果として既存の関係性が選択され、その外部が排除されうるという問題である。その他、個人化やネオリベラリズム的社会再編に伴う変化は、既存の秩序からの離脱可能性を高める一方、個人を生活保守主義やバックラッシュ、外国人排斥という新たな敵体性にも節合させうると指摘する。異質な他者を、法を超えて統制・排除する方向と一致しうるのである。
以上、仁平の整理を見てきた。前章において、福祉教育がマンパワーとしてのボランティア養成の方策として位置づけられてきたため、都合よくボランティアが利用されることに福祉教育は加担しているのではないか、という疑問が生じることに言及した。よって、ネオリベラリズムとの共振問題について、福祉教育も悪い意味で加担するのではないか、と疑念が生まれると思われる。次節では、ネオリベラリズムとの共振問題と福祉教育の関連について考察する。
2. ネオリベラリズムとの共振問題に対する福祉教育の概念規定からの考察
第Ⅲ章において福祉教育を、福祉マンパワー施策における位置づけについて検討するため、言い換えれば行政側の意図を明らかにするため、その概念規定については宙づりにしたが、ここからは実践者・研究者側から検討・構築されてきた福祉教育の概念規定を踏まえて、ネオリベラリズムとの共振問題について考察を加える。
福祉教育の代表的な概念規定として、全国社会福祉協議会に設置された福祉教育研究会(1980年、大橋謙策委員長)による「福祉教育とは、憲法13条、25条等に規定された人権を前提にして成り立つ平和と民主主義社会を作りあげるために、歴史的にも、社会的にも阻害されてきた、社会福祉問題を素材として学習することであり、それらとの切り結びを通して社会福祉制度、活動への関心と理解をすすめ、自らの人間形成を図りつつ、社会福祉サービスを受給している人々を社会から、地域から阻害することなく、共に手をたずさえて豊かに生きていく力、社会福祉問題を解決する実践力を身につけることを目的に行われる意図的な活動である」が挙げられる。
『新福祉教育ハンドブック』では、上記の概念規定について、次の3つの特徴を挙げている(上野谷・原田, 2014, p.14)。その3点をまとめると次のようになる。
a) 福祉教育は人権を基本として成り立つ教育実践である。その中で、教育基本法にもある平和と民主主義を作り上げ、ともに手を携えて豊かに生きていく(ノーマライゼーション)ための実践力を育むことを意図してきた。
b) 学習素材として「社会福祉問題」を取り上げることである。社会福祉は、私たちにとって身近な日常の問題であると同時に、差別や排除の対象として切り捨てられてきた歴史と現実がある問題でもある。
c) 「社会福祉問題」を正面からとらえて、かつ自分自身の日常生活と結びつける(切り結ぶ)ために、体験学習を重視してきた。直接的なふれあいや対話を通して現実の課題に気づき、そこから学ぶことを大切にしてきた。さらに、それらを解決する「実践力」まで期待している。
福祉教育の概念規定における上記3つの特徴を踏まえた上で、ネオリベラリズムとの共振問題について考察する。ボランティアとネオリベラリズムの共振問題は、仁平(2005, p.494)によれば「共感可能な他者との関係性を重視するケア倫理的準拠的な、またラディカルな政治性を回避する民主主義なボランティア活動」が「既存の秩序や関係性から逸脱した<他者>を外部に置く」ことに起因する。たとえば、防犯ボランティアは<他者>をリスクとしてとらえて排除するかもしれない。よって、ボランティアとネオリベラリズムの共振問題を回避するポイントは、「既存の秩序や関係性から逸脱した<他者>」への対応ということになろう。
前節において、都合よくボランティアが利用されることに福祉教育は加担しているのではないかという疑問について指摘したが、福祉教育の概念規定にはボランティアとネオリベラリズムの共振問題を回避する要素を含んでいるため、むしろボランティアが都合よく利用されることにつながらないことを以下論じる。
福祉教育の概念規定の特徴の1つとして、社会福祉問題を取り上げることが挙げられるが、「社会福祉問題に直面している人たちは、実は社会的に排除され、高齢者差別・性差別・人種差別あるいは家庭問題や失業問題などを、同時に抱えている場合が多々あり(中略)福祉における生の現実とは、多様な問題が入り組んだ矛盾の現実」(上野谷・原田, 2014, p.14)である。よって社会福祉問題とは社会福祉領域における「既存の秩序や関係性から逸脱した<他者>」の問題といえる。
福祉教育の概念規定は「既存の秩序や関係性から逸脱した<他者>」を逸脱したままでよしとはしない。仁平(2005, p.494)は「『われわれを<他者>が苦しめる』という構図から『われわれと<他者>を対立させ、苦しめる基層的な<社会>的原因がある』という構図へと転換することで、<他者>を共感・連帯可能な他者へと改鋳」する必要性を指摘しているが、福祉教育の概念規定では、人権を基盤とし「ともに手を携えて豊かに生きていく」つまり共生の思想が大切にされているし、社会福祉問題は個人の問題ではなく「科学的な認識」(牧里編, 2003, p.103)を持つことが求められる。
また福祉教育の概念規定は「社会福祉領域にも『既存の秩序や関係性から逸脱した<他者>』がいて問題である」という理解の段階にとどめるものではない。「ともに手を携えて豊かに生きていく」ための実践力を育むことが意図されているし、社会福祉問題を解決する実践力も意図されている。その際、ボランティア活動が重要になってくる5)。
猪瀬(2020, p.65)は、ボランティアが自分の役割を小さくしようとする国家や、あるいはお金儲け以外はやりたがらない市場のそれぞれのシステムに都合よく使われるが、それだけ国家や市場システムが隅々まで浸透した社会において、国家のサービスから排除されている人たち(たとえば被災した人などのマイノリティ)や、お金をもっていない人は、ボランティアがなければ、より困るだけである。単にボランティアが動員されているとシニカルに批判しても、排除されている人たちの問題について何の解決にもならない、と指摘する。
そのような問題の解決には「今あるシステムがうまく機能しないところに入り込み、他者と共に生きる空間」(猪瀬, 2020, p.65)にすること、及び「国家や市場のシステムを掘り崩していく身振りを身に着けていくこと」(猪瀬, 2020, p.65)が重要となる。福祉教育の概念規定は排除されている人たちの問題(つまり社会福祉問題)を素材にし、直接的なふれあいや対話を通して、共に手を携えて豊かに生きていく力、社会福祉問題を解決する実践力を身につけることまで射程にいれており、上記のように猪瀬が指摘した点についても射程にいれていたと言えよう。よって、当該問題の解決には福祉教育の概念規定を十分に理解した行動が求められると考える。
Ⅴ. おわりに
本研究では福祉マンパワー施策における福祉教育の位置づけを検討し、ネオリベラリズムが引き起こすボランティアに関する問題について実践者・研究者側から検討・構築されてきた福祉教育の概念規定から考察した。ネオリベラリズムとの共振問題について福祉教育は悪い意味で加担するのではなく、むしろ回避する要素を含んでいることを明らかにした。
ただ、福祉教育にも課題はある。清水(2021, p.21)が「行政の行うボランティア養成では、自己判断能力を持たせずボランティア活動を社会善として、その枠の中に閉じ込めようとする。つまり、サービス型のボランティアのみ養成し、運動としてのボランティア活動を排除しようとする」と指摘している。「行政は、ボランティア領域内部を透明化し、運動に繋がりうるベクトルを分別・排除する欲望を持っていたが、近年その動きは強まっている」(仁平, 2005, p.495)ため、行政が行う福祉ボランティア養成によって、福祉教育の概念規定が骨抜きにされることへの警戒が必要である。本学会は、設立当初から「実践」を重視し、実践から学び、実践を深め、実践を広げることを重視してきた(原田, 2014, p.390)。その諸実践から、骨抜きにされないような示唆を得るための理論的な研究、例えば排除されている人たちの声について福祉教育を行う人たちが代弁したり、共に訴えて、積極的にその声を福祉マンパワー施策に反映して共生社会を作るといった「福祉教育とソーシャルアクション」の理論的研究を進めることなどが求められると考える。
付記
本研究は、JSPS科研費19K13975の助成を受けたものである。
【注】
1) 「日本産業教育学会においても高校福祉教育の研究が着実に蓄積されつつある」(日本産業教育学会編, 2013, p.60)という指摘にみられるように、高校福祉科と産業の関係については一定の研究成果が見られる。しかしながら、高校福祉科という狭い領域と、産業という幅広い領域の関係であり、福祉教育と福祉マンパワー施策との関連そのものの研究成果ではない。佐々木(2007)は、福祉マンパワー対策の中でも福祉人材確保指針・福祉人材確保法と社会福祉教育にについて分析しているが、幅広く福祉マンパワー施策と福祉教育との関連について検討したものではない。
2) 文部省・厚生省・労働省・建設省(1994)「今後の子育て支援のための施策の基本的方向 について」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/angelplan.html
(最終閲覧日:2021年12月11日)
3) 厚生省(1999)「新エンゼルプランについて」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/syousika/tp0816-3_18.html
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4) 障害者対策推進本部(1995)「障害者プランの概要――ノーマライゼーション7ヵ年戦略」https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/plan.html
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5) 大橋(1987, p.74)は「社会福祉に関する意識は、知的理解でのみではなかなか変容しない。社会福祉問題を抱えた人々との交流の中で、あるいはその問題解決の実践・体験の中で変容する。それだけにボランティア活動の推進は重要である」と指摘している。
【引用・参考文献】
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出所:三ツ石行宏/福祉教育は都合よいボランティアの養成方法なのか?―福祉マンパワー施策及び福祉教育の概念規定に焦点をあてて―/『日本福祉教育・ボランティア学習学会 研究紀要』Vol.38、日本福祉教育・ボランティア学習学会、2022年7月 、19~30ページ。
謝辞:転載許可を賜りました三ツ石行宏先生と日本福祉教育・ボランティア学習学会に衷心より厚くお礼申し上げます。/市民福祉教育研究所
Ⅲ 児童養護施設に関する福祉教育実践
―Y小学校を事例として―
出所:三ツ石行宏/児童養護施設に関する福祉教育実践―/『日本福祉教育・ボランティア学習学会 研究紀要』Vol35、日本福祉教育・ボランティア学習学会、2020年11月 、111~123ページ。
謝辞:転載許可を賜りました三ツ石行宏先生と日本福祉教育・ボランティア学習学会に衷心より厚くお礼申し上げます。/市民福祉教育研究所