老爺心お節介情報/第47号(2023年8月12日)

「老爺心お節介情報」第47号

皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
立秋とはいえ、猛暑厳しく、体がおかしくなりそうです。
「老爺心お節介情報」を送ります。ご笑覧下さい。
どうぞご自由にお使いください。

2023年8月12日   大橋 謙策

〇毎日、暑い日が続いていますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
〇6月2日に「老爺心お節介情報」46号を出して以降、秋田県、岩手県、香川県、石巻市、富里市等のCSW研修の前期日程が入り、あまりにも忙しくて「老爺心お節介情報」を書けませんでした。
〇と同時に、この間、これはといった本も読めずにいましたので、「老爺心お節介情報」を書くことができませんでした。申し訳ありませんでした。

Ⅰ 『民は立つ』(信濃毎日新聞社、2007年10月)

〇本書は、日本地域福祉学会終了後訪問し、その後その地域の地域福祉の在り方を考えることが必要だとして“結成”された中条プロジェクト(旧中条村の地域福祉の在り方を考える会)のメンバーである旧中条村社会福祉協議会職員の黒岩秀美さんから寄贈されたものです。
〇本書を知った経緯は、私が1965年に実習させて頂いた長野県下伊那郡阿智村の岡庭一雄元村長が新聞の使命などに関わるあり方を信濃毎日新聞に最近寄稿された記事を小池正志さん(元長野県社会福祉協議会事務局長、中条プロジェクトのメンバー)が送ってくれたので、読みたいとメールを送ったところ、黒岩秀美さんが寄贈してくれました。
〇本書は、長野県内の自治体で起きている事案を取り上げ、その事案の解決に向けて住民の合意がどのように形成されるのかを中心命題にして、住民同士の論戦、住民と行政との関係、住民と市町村議会議員との関係などについて取材したものをまとめたものです。
〇主に、田中康夫県知事時代の状況をめぐっての論題ですが、住民自治、地方自治、住民の意識と学習等“地域づくり”に関わる根幹を問いかけています。
〇また、長野県は小さい村が沢山あり、村自体の存立が可能なのか、財政難であえぐ村の“自立”の問題、それを“ある意味、国が強権的に合併させようとした平成の合併”問題で揺れる村の状況を丁寧に記事にしたものです。
〇取り上げられた事案は、市町村合併、高校再編、保育所の廃止・民営化問題、ダムの建設の是非、スキー場の経営と委託化、山村留学、公民館の在り方と地域づくり協議会(地域自治協議会)等の問題が取り上げられ、地域づくりに住民がどう関わるのか、民主主義とは何かを問いかける力作です。長野県茅野市の「CHUKOUらんどチノチノ」の実践も紹介されていました。
〇他方、住民同士の横のつながりの希薄化、人任せ、行政任せの依存体質、地域自治会の役員のなり手がない状況に輪をかけて、地域の高齢化、人口減少などの“地域存続の危機”についても論究しており、地域づくりに関心のある人には是非読んでほしいものです。
〇筆者は、1980年に「自立と連帯の社会・地域づくりに向けたボランティア活動の構造」を示し、かつ4つの「地域福祉の主体形成」(地域福祉実践の主体形成、地域福祉サービス利用の主体形成、地域福祉計画策定の主体形成、社会保険契約の主体形成)を提唱してきました。そこには、榛村純一(元静岡県掛川市市長)が提唱した「選択的土着民」と相通ずる考え方があります。住民一人一人が地域を愛し、人任せでなく、行政任せでなく、自らが主体的に地域を豊かにすることに関わる活動、文化が醸成されない限り、地域は良くならないという哲学が底流にあります。
〇そのような考え方は、筆者が東京大学大学院で社会教育を専攻し、長野県各地で実習をさせて頂いてきたからつくられたものであろうし、筆者が日本社会事業大学へ進学しようとする契機になった島木健作著『生活の探求』と相通ずるものです。
〇しかしながら、本書を読むと住民の合意形成の難しさ、民主主義的議論・手続きの進め方の難しさ、資料の作り方の難しさがよくわかります。
〇私も、大学3年生の実習で、長野県下伊那郡喬木村で実習させて頂いた折、「喬木村公民館報」に、当時、小渋川開発に関わる土地収用法の解説を書けと言われて、住民向けに、どのような資料を提供したらいいのか悩んだ記憶があります。それは、たぶん、「喬木村公民館報」に掲載されていると思います。
〇本書を読んで、改めて1960年代に志した自分の“思い”を見直すことになりました。地域福祉研究者、実践者は、どれだけ“地域づくりの難しさ”を実感して、取り組んでいるのでしょうか。
〇本書には、島根県邑南町口羽村の実践(『過疎を逆手に取る』)も紹介されていましたが、改めて1978年に書いた社会福祉施設の地域化と社会化の論文(「施設の社会化と福祉実践」『社会福祉学』第19号、1978年)を思い出し、社会福祉施設を経営している社会福祉法人の“地域貢献”ではなく、地域住民の拠り所、共同利用施設としての社会福祉法人という視点からの社会福祉法人の”地域貢献“を考える必要があるし、社会福祉法人が”限界集落“、”消滅市町村“の危機にある地域において、どのように地域づくりに貢献できるのか、その位置と役割は大きいと思いました。
〇「持続可能な地域づくり」と「地域福祉」と「社会福祉協議会」と「施設社会福祉法人」との関係を考える上で、是非、『里山人間主義の出番ですーー福祉施設がポンプ役のまちづくり』(指田志恵子著、あけび書房、2015年3月)と『ソーシャルイノベーションーー社会福祉法人佛子園が「ごちゃまぜ」で挑む地方創生』(監修雄谷良成、編著竹本鉄雄、ダイヤモンド社、2018年9月)を読んでほしいと思いました。
〇これからの地域福祉は、持続可能なまちづくり、地域づくりとの関係を抜きにしては考えられません。その際の社会福祉施設の役割は、高知県の「ふれあいあったかセンター」の実践ではありませんが、社会福祉施設の役割は大きいと思います。

Ⅱ 健診とがん告知・その ⑤

①前立腺がんの定期検診が、日本医科大学多摩永山病院で、6月15日に行われた。その際、前回の3月28日の健診の検査結果が示されたが、PSA数値が0・010となっており、医師からは順調な診療経過であると告げられる。
医師に、このPSAはゼロにならなくていいのかと問うと、前立腺を摘出していないので、それがある限りはゼロにならないという。もう一つ質問をした。この数値で見て、前立腺がんは消滅したと考えていいのかと問うと、そうですとの答え。
ホルモン注射も、今までは3か月に1回であったが、今回は6か月分をうつので、次回のホルモン注射は12月になるという。
ホルモン錠剤の投与は、90日分しかだせないので、次回の診察は9月に行うとのことであった。後は、経過観察を定期的に行っていくことになる。

②6月2日~6月15日まで、2種類の補聴器のお試し装用をしてきたが、「聞こえ」の面で特段の効用があったとは思えない。
6月16日の診察日に、お試し装用期間の記録(別紙)を提出し、とりあえずは補聴器の装用を辞退したい旨医師に告げると、補聴器機能を調整して、もう少しお試しをしようとの返事。そのあと、補聴器の調整をしてもらって装用したが、どうも効果が出ない。STと認定補聴器技能者は調整しても効果がでないので、今しばらく様子を見ましょうと言ってくれた。医師はおかしいなと首をかしげながら、STなどの意見を受け入れ、補聴器装用は現時点ではしないことに決定した。
使用させてくれた2種類の補聴器は、両耳で120万円クラスの機器と聞いて驚いた。

(備考)

③8月3日、右目の白内障手術を受けた。7月31日から、2種類の点眼薬を点眼し、手術日の8月4日は朝から瞳孔を開く点眼薬を指して、手術に臨む。右目の部分麻酔なので、声は聞こえるし、手術中の動きもわかる。眼球をいじられるので、少々痛くはあったが、手術は10分、前後の準備も入れて20分もかからずに終了。
手術の翌日の8月4日に、眼帯を外す。明るく、ものがはっきりと見える。帰宅時にはサングラスをかけ、ゴーグルをして帰る。自宅に帰って、鏡を見ると、自分の顔にこんなにもシミがあったのかと、その老醜に驚く。眼がぼんやりしていた方がいい場合もあるのだなと妙に感心。
右目の視力は1・0で、老眼を懸けずに字が読める。これは嬉しいことである。パソコンも眼鏡なしで打てている。新聞も鮮明になり、老眼を抱えずに読めている。こんなにも違うのかと感心しきりである。妻が、“私の顔もきれいに見えますか”というので、もちろんきれいですと答えた。
ただ、手術後、4種類の点眼薬を朝、昼、晩、種類によっては寝る前と注すので、結構煩わしい。しかも、点眼は5分の間隔を空けて注せというので、時間もかかるのが大変。でも、こんなによく見えるようになったのだから文句は言えない。
8月12日、定期検査で異常がないので、洗顔、洗髪もOKとのこと。ただし点眼は約1か月続ける必要があるという。視力も1・2になっていた。
左目の手術は、9月7日の予定。

(2023年8月12日記)

(備考)
「老爺心お節介情報」は、阪野貢先生のブログ(「阪野貢 市民福祉教育研究所」で検索)に第1号から収録されていますので、関心のある方は検索してください。
この「老爺心お節介情報」はご自由にご活用頂いて結構です。