阪野 貢 のすべての投稿

1・17以降に備える

阪神淡路大震災から25年
今年も 霊を悼み 静かに合掌する

地震 台風 暴風豪雨 酷暑と大雪の異常気象
家屋倒壊 地崩れ 堤防決壊 水害 停電 交通網の寸断
震災以降毎年 被害甚大な自然災害が
日本列島に 容赦なく襲いかかってくる

ダムも堤防も 役には立たない
過去のデータは 次々と書き換えられた
今まで何事もなかった地域に
満遍なく 見事に 
予想を超えて襲来し 民の暮らしを非情に叩く

ローンの残った家屋の水没 損壊
道路 橋 堤防 河川 農工業用地の 破壊と破損
農業地域は作物壊滅と 異常気象による生産ダウンを余儀なくされる
漁業地域へ流木・泥などが海へ流出 港湾や養殖施設が破壊される
工業地域の生産ストップ 生産縮小を強いられる
流通ルートが寸断され 被災地への供給が遅滞する
日本の全産業と国民に ダメージ与え続ける災害は
国の防衛体制不備のまま 今年も予告なく何度も襲来するだろう

予算超過の東京オリンピックの開催年
金儲けしか頭にない輩の 災害リスクは二の次
浮かれる前に 都市機能が低下する 最悪の事態を想定すべきだ
開催中 東京だけで1千万人を越えると予想される
海外からの観光客を いかに安全に避難させるかは
東京都民も承知しなければ 事は悲惨な事態となる
ボランティアにも 充分な学習機会が必要だ 
避難場所の確認や 水・食料の確保
近隣県への協力要請 交通機関の確保などなど
都も国も シミュレーションしておく重要事項
訪日する観光客にも 自分で自分の身を守るよう
リスクの伴う訪日を プレゼンしなければ 片手落ち
おもてなしとは 安全を保障することが 大前提で最優先
肝に銘じて 札幌に押しつけられた競技を楽しむことにする
 
〔2020年1月12日書き下ろし。自然災害は避けようがないが、二次災害を避けるためにも充分な備えが必要だ。ただどのタイミングで逃げるかも想定したい〕 

痛みなきゲーム

子どもらは ゲーム機もって時間を潰す
兵士らは 値の張るゲーム機持たされて
いつでも 正確無比に攻撃できるよう
シミュレーションで 時間を潰す

本番の指令が 飛んできた
心うきうき 作戦開始
飛ばした無人攻撃機を
ターゲットに向かわせる
宇宙から監視衛星で追跡し
撃ての命令 スイッチオン
見事攻撃成功 小躍りしながら 高揚する
作戦見事に的中し
敵陣は 幾多の屍が折り重なり 
阿鼻叫喚(あびきょうかん)の巷(ちまた)と化す

阿修羅道に踏みいれし者たちは
戦争ゲームに 夢中です
敵を殺戮(さつりく)する快感は
ミサイル着弾の瞬間に わきあがる
倒れし生身の人間の 一人ひとりの死にゆく苦悶の表情は
誰ひとり想像できない 仮想世界の出来事なのです
遠くにありて 仮想世界の出来事にしか過ぎないのです

痛みなき戦争ゲームに参加する
主導する者も 命令される者も
みな他人の死に対し
無慈悲無感覚となるのでしょうか
自らの最期の刻を迎えたときに 
よき人間だったと
よき人生だったと
みな神に召されていくのでしょうか

その墓には きっと花よりもゲーム機が似合います

※阿修羅道(あしゅらどう):仏法の守護神とされる一方、六道の一として人間以下の存在とされ絶えず闘争を好む阿修羅が住む争いの絶えない世界。

〔2020年1月11日書き下ろし。痛みの伴わない殺戮が繰り返されている。核兵器のスイッチは誰が押すのか。安全に厳重に管理されていると何を根拠に信じているのか。世界はいつでも狂気を満たす準備を整えていることを想像しよう〕

殺せ!

ターゲットは
モニターにあった
「殺(や)れ」
命令一下
兵士はボタンを押す
遠方から 命中のシグナル受信する
ハイタッチし歓喜する アメリカ軍
命令下せし張本人
座して してやったりのしたり顔
敵の攻撃未然に防ぐ 国家テロ
正義の鉄槌くだしたと
公然と冒した殺人 無罪なり
殺した兵士らは 英雄なり

緊迫した状況
モニターで 敵機だと確信した
「撃て!」
命令一下
兵士はボタンを押した
ミサイルは 見事敵機を撃墜する
歓喜したイラン軍
その後 民間機だと判明
意気消沈のイラン軍
まずは 撃墜を否定する
証拠を出され すごすご認知
誰がどう判断し命令したのか
調査の上で 処分する
兵士らは 犯罪人となる

その前に ミサイル攻撃したその朝に
なぜ 事前に運航禁止しなかったのか
最大の防御は 民間人をいかに守るか
低レベルの防衛能力と無策を露呈する

176人の 還らぬいのちと人生に
人的ミスしました すみません
これでチャラにしようとするのが
戦争という魔物が支配する残忍な世界
その原因をつくった者たちは
今夜も枕を高くして 寝つくことだろう
犠牲になった人たちの冥福を祈りつつ
家族の悼みに添う 想像力を絶やしてはならない

戦争の代償は いつも罪なき人たちに払わせる
勝ち誇る者は 征服欲に満たされ さらに傲慢となる

〔2020年1月11日書き下ろし。やり切れなさが続きます。176人方々のご冥福を祈りつつ、残酷な現実を決して忘れぬようにしませんか〕

付記
イラン、ウクライナ機の撃墜認める 人的ミスとおわび
イランの首都テヘランでウクライナ国際航空機が墜落して176人が死亡した事故について、イランの統合参謀本部は11日、イランメディアを通じた声明で、撃墜を認めた。「人的ミスだった」としている。ザリフ外相も同日のツイッターで撃墜を認めた。イランはこれまで、ミサイルによる撃墜を否定していた。
統合参謀本部は声明で、イランが8日に米軍の駐留するイラク軍基地をミサイル攻撃した後、「イラン軍は高い警戒レベルにあり、米国の戦闘機が我々を標的にしていると報じられるなど敏感な状態だった」と釈明。「(ウクライナ機が)イランの精鋭部隊・革命防衛隊の軍事拠点の方角に向かうなどしたため、不注意で撃墜した」と撃墜を認めた。同本部は、犠牲者への追悼と謝罪も表明した。
墜落により多数の自国民が犠牲になったカナダのトルドー首相は9日、「イランの地対空ミサイルによって撃ち落とされた」と指摘していた。(テヘラン=杉崎慎弥/朝日新聞デジタル版/2020年1月11日 13時20分)

裁かれるわたし

相模原やまゆり園事件の裁判始まる
1月9日 社説に見る個々と社会の責任を問う論調
「一人ひとりの、そして社会の深淵のある差別に向き合い、問い続ける」(朝日)
「障害者が地域の一員として暮らせるように社会全体で取り組む必要がある」(毎日)
「決して植松被告も強者ではないのに、弱者の排除に回るのはなぜか、誰もが自問自答しつつ、現代の病理の本質に迫らねばならない」(東京新聞)
「被害者だけではなく、社会全体の意識が問われていると捉えるべきだ。私たち一人一人が差別を生む土壌を変えていく決意が求められよう」(道新)

この世に生を受け 生きていく 
一人ひとりのいのちの尊さは
地球の重さに等しい 
美しいコトバ
きれいごとの建前論
知ってなおかつ そうあるように
理想の福祉社会を創る努力こそ
いま生かされている者たちの この世の責務

本音と建て前 総論と各論
さもわかったかのように 嘯(うそぶ)くところこそ
糾弾されなければならない
そこには 社会の意識変革をくじき
現状をただ憂うふりをした者たちが 群れ集まる 
結果 何もしない 何も起きない 何も変わらない
一人ひとりが 醒めていく
そしてまた 事件が起こり 同じ口調で論じ合う

差別の負のサイクルを 食い止める
そこに 名もなき弱き者たちが 
いま 裁きの場に立つ
裁かれるのは 被告だけではない
わたし自身の沈黙と怠慢 そして本音である

〔2020年1月11日書き下ろし。裁判を通して、《わたし》という存在を問われる場をとし考えていきたい〕

美帆という名

相模原やまゆり園で 45人が死傷した裁判が始まった
横浜地裁は 一人を除いて被害者を匿名で審理する
母は「甲1」と呼ばれることに 納得できなかった
「美帆」と呼ばれることを希望した
でも フルネームでなければ認められなかった

この国の人権侵害は ハンセン病問題と同根
ハンセン病家族訴訟も 家族は実名公表を避けた  
参議院議員選挙がなければ 国は上告し
勝訴を勝ち取るまで 家族の苦痛は続いたはず
国家ぐるみの人権侵害 
厚労省 文科省 法務省 そして国会議員
不作為を放置した責任は いまも何も果たされてはいない
裁判に勝訴したからとて 差別と偏見はなくなるはずはない
被害者に その壁を破るだけの余力は ない
実名がわかればすぐに 心ない歪んだ輩が拡散し
非難 中傷 差別 蔑視 嘲(あざけ)り尽くし
社会的制裁を 卑劣に繰り返す
だから 被害者は沈黙を強要され続けるのだ

老人施設が措置の時代であった頃
「劣等処遇の原則」がまかり通った
生活保護者もシングルマザーも
一般社会の生活レベルよりも 常に低く
社会に哀れみをかけられて 
養われていることを 肝に銘じ
黙って従い 物言うな
強迫じみた 沈黙の劣等処遇
いまも 社会の根底に脈々と流れている
払拭できない不当な差別と強い蔑視感

障がい者も 病者も 年寄りも
社会ののけ者 忌み嫌われ者
生きたくば 名前は入らぬ
甲乙番号だけで充分だ
地域社会に それ以上求めるなかれ
隔絶された世界で 
生きながらえる 衣食住があるならば
甲乙番号だけで充分だ
地域社会に それ以上求めるなかれ
人権を侵されようと なにされようと
生かされたくば 沈黙こそ処世術
地域社会は それ以上何も求めない

歪んだ鏡に映る 自分の姿を見て思う
みんなと同じ 五体満足ってなんて素敵なんだろう
歪んだ鏡に映る 自分の心を見て思う
みんなと同じ なんて思いやりに溢れているんだろう
歪んだ鏡に映る 世の仕組みを見て思う
みんな平等 なんて使い勝手がいいのだろう
歪んだ鏡にしか映らない 世の正義を見て思う
みんなと一緒に 異質な者を排除するのは快感です
それが 暗黙の了解 世の習い
社会の歪みは放置され さらに歪みを増して
沈黙の劣等処遇を強化する

いま美帆という名で その沈黙を破る闘いが始まった
 
〔2020年1月10日書き下ろし。相模原事件に注目してください。関心を強く持ってください〕

「沈黙の作法」:肩を並べて「聴いて聴いて聴く」「待って待って待つ」、そこからしか始まらない―山折哲雄・柳美理著『沈黙の作法』読後メモ―

〇1990年代後半から始まったと言われるネット社会、その昨今の進展にはすさまじいものがある。しかしそこには、光と影、功と罪が混在する。ネット社会は一面では、肩を並べて「会話」することを必要としない社会である。人間相互の内的な「つながり」を必要としない社会である。例えば、FacebookやTwitter、LINEなどのSNS(Social Networking Service)空間では、発話を伴わない無機質な場面が繋がり、短文や単語、絵文字や隠語だけが飛び交う。そして、自分とは違う考え方や価値観を持つ他人を排除し、狭い世界を彷徨う。その結果、「本当の自分」を見つけ、自分らしく豊かに生きることができなくなる。
〇そんなことを思いながら、山折哲雄・柳美里の対談本『沈黙の作法』(河出書房新社、2019年6月)を読んだ。そこでは、二人の厳しくつらい経験と時空を超えた思索が縦横に織り成され、感性が研ぎ澄まされ、対話を深化・発展させていく。そして、その語らいは「沈黙」へと収斂する。山折哲雄(やまおり・てつお)の専門は宗教学、思想史であり、柳美里(ゆう・みり)は劇作家、小説家である。周知のことである。
〇以下に、山折・柳の対談の一コマや言葉をメモっておくことにする(抜き書きと要約。見出しは筆者)。それは、「他人の思想の断片をハシでつまんで、その無自覚の浅知恵を上手に働かせて『パク』る」(205ページ)ことではない。「まちづくり」や「市民福祉教育」について思索・思考するための視点やヒントを探りたいがためである。

「共苦」によって傾聴する
柳 :(東日本大震災による)あまりにも大きな喪失、目の眩(くら)むような痛みによる沈黙を前にして、自分がどのような言葉を持てるのか? 何がしかの言葉を携(たずさ)えて共闘を呼び掛ける前に、まず共苦(きょうく)による沈黙が必要なのではないかと感じていて、それはやはり聴くことでしかないのではないのか。聴いて聴いて聴くことの先に言葉を持ち得るのかどうかは、わたしにはまだわかりません。(68ページ)
山折:共闘という言葉が促す人間の行動は、人と人を結び連(つら)ね、連帯によって集団を組織して、共同の運動をなして立場を強め、その結果に対して責任を持つことです。柳さんのおっしゃる共苦は、悲劇的な状況に置かれている他者と自分の一対一の関係ですよね。その関係が喚起する在り方というのは、一人の孤独な生き方で、尚且(なおか)つひたすらに沈黙に向かわなければならない。非常に辛い仕事ですよね。(68~69ページ)

人と人との「間」を取り戻す
柳 :人と人との関係は、「間」を見詰めて、相手と自分を客観視することが重要です。相手との差異を共通点と同じ比重で認めることが出来れば、相手を尊重することが出来ると思うんですが、インターネットの世界では、同意・賛成の意見を持った人たちで固まり、異なるものを排除・攻撃するという傾向が顕著(けんちょ)です。(97~98ページ)
山折:科学者や社会科学者の書く文章が「人」に変わってきた。「人間」から「人」に変わる時に落ちるのが「間」ですね。さらには(中略)カタカナで「ヒト」と表記されるようになった。(98ページ)
「人間」「人」「ヒト」という変化をどう捉えるかということですよね。柳さんかおっしゃるように、人間の関係性を客観視出来なくなるということが社会現象化していると言えるかもしれない。(98~99ページ)
柳 :インターネットの世界では「間」がすっぽり抜けています。TwitterやLINEなどのSNSでは、人と人との「間」を飛ばして、いきなり相手に自分の感情を手づかみでぶつける。(中略)今こそ、インターネットの介在(かいざい)で一挙に埋め立てられてしまった人と人との「間」をどうやって取り戻すのかという議論が必要なのではないでしょうか。(99ページ)

不安定さを支える「思想」を持つ
柳 :定着と移動、土着と流浪(るろう)、というのは、わたしも考え詰めて来ました。わたしの場合、考えざるを得ない境遇に生まれたから。(122ページ)
山折:流浪は、場に投げ出され、拠(よ)り所(どころ)が無く、自分を心細い存在にする行為だけれども、塵芥(じんかい)のように流されていくその流れの只中(ただなか)で創造の契機をつかむことはある。そういった緊張感というか、面白さはあるんだ。表現するってことは何であれ、そういう緊張の瞬間を我が物に出来るかどうかでしょ?(123~124ページ)
柳 :緊張の瞬間を我が物にするためには、自分の軸を持たなければなりません。それには、安定するための思想ではなく、不安定さを支えるための思想が必要です。(124ページ)
柳 :流浪の民は移動する度に、場所、蓄積したもの、人間関係を失います。でも、新しい場所や人間関係に対する不安や脅威によって、孤独や孤立によって、自分という存在が問(と)い質(ただ)され、予見不可能な事や時へと自分を拓(ひら)いていく覚悟が生まれるわけです。逆説的ではありますが、流浪していた方が、自己に対する在り方を定立しやすいのかもしれません。(129ページ)。
山折:定着するライフスタイルの中に居場所が在るとは限らない。(129ページ)

長い「沈黙」を共有する
山折:真の苦境に追い込まれた時、知識として体に染み込ませたものは全て揮発(きはつ)します。最後に何が残るのか? 自分の苦境と、苦境に陥った自分の気持ちも相手に伝えるためには、言葉に拠(よ)るしかない。でも、言葉は一言も思い付かない。長い沈黙が続く。長い長い沈黙を経て、一つ、二つの言葉が出て来る。(145~146ページ)
柳 :沈黙というのは、言葉と言葉の断絶や溝ではなくて、言葉と言葉の梯子(はしご)みたいなものですね。(147ページ)
山折:沈黙は、最高で最終的な宗教言語なんです。沈黙が宗教言語であるということを忘れたから、気の利(き)いた不必要な言葉を沈黙に注入し始めるわけですよ。
沈黙の大切さを忘れた日本人は、ケアだとかカウンセリングなどというカタカナ語に毒されています。(147ページ)
柳 :言葉ではなくて、沈黙によって神や仏や人と結ばれるということですね。(147ページ)
柳 :会話が途切れると、その沈黙を気まずいものとして感じる人が多いですよね。なんとか話が途切れないように、どうでもいい話を次から次へと続けて間を持たせる。話の合間に訪れる沈黙の中にこそ思考の契機が在る。話し合うよりも、黙り合う時間を共有することが大切なんです。(198ページ)

沈黙の「作法」を身につける
柳 :対面というのは、お互いの内に在る沈黙を突き付け合うようで緊張しますよね。両者それぞれに孤立している硬い沈黙です。(176ページ)
山折:悩みを抱えて来訪した相手の話を聴く。聴いて聴いて聴く。一方的に聴いた後になんらかの方向性を示すか示さないのかというのが、宗教者と心理療法士の差なのではないかというのが、河合隼雄(かわい・はやお)さんとの懸案(けんあん)の課題でしたね。でも、河合さんはその時おっしゃったんだ。心理療法士だって聴いている最中あるいは聴き終えた後に方向性は考える。なんらかの方向性を示す言葉を伝えるよ、と。では、両者の聴き方は同じなのか? 両者が示す方向性は同じなのか? いま、わたしが思ったのはですね、宗教者が示すのは沈黙なのではないかということなんです。沈黙に至る道筋に法則は無いんだよね。でも、作法は在る。沈黙の作法です。(177ページ)
柳 :沈黙の作法、いい言葉ですね。法則は無いけど作法は在る。法則は守らなければならない決まりで、いわばマニュアルですものね。作法は、物事を行う仕方、やりかたです。作法に在って、法則に無いものは、美です。逆に法則に在って、作法に無いものは、実利です。(177ページ)

〇かつて物事を長い目で見たり、長いスパンで考えたりすることは、ありふれたことであった。しかしいま、「みみっちいほど、せっかちになった」。「待たなくてよい社会になった。/待つことができない社会になった」(鷲田清一『「待つ」ということ』KADOKAWA、2006年8月、7、9ページ)。これも、「つながり」が断絶した社会とともに、いまのネット社会のひとつの実相である。そんな時代や社会にあって、「沈黙の作法」を身につけ、「なぜ生きるのか」「いかに生きるべきか」「いかに死ぬべきか」といった「生きる意義」や「生き死にの問題」(山折:12、13ページ)に深く分け入ることが求められる。「まちづくり」や「市民福祉教育」においても然りである。
〇筆者が住む地元新聞は、2020年1月9日の社説で、「相模原事件初公判」について次のように論じた。「もう一つ、この裁判で目を向けなければならないことがある。公判の冒頭、裁判長は『被害者のうち1人を除き、住所や氏名などを明らかにしない』と説明。検察側は起訴状朗読で死亡者を『甲A、B‥‥』、けが人は『乙A、B‥‥』とし、氏名を伏せた。家族の多くが差別と偏見に苦しめられた経験を持つことに配慮した『匿名審理』だ。/また遺族らの傍聴席は他の傍聴人から見えないよう遮蔽(しゃへい)された。16年(2016年4月)施行の障害者差別解消法が掲げる『人格と個性を尊重し合いながら共生する社会』とは懸け離れた重い現実がそこにあることを忘れてはならない」(『岐阜新聞』2020年1月9日朝刊)。
〇権力者や社会的強者の横暴や理不尽がまかり通り、ひとりの人の声がその隅々まで響き渡る時代と社会。権力や強力に近づき、群がる「人」また「ヒト」。そんななかで、心を閉(と)ざし、身を竦(すく)め、物音ひとつ立てずに暮らす大勢の社会的弱者がいる。「ちんもく」である。それをみんなで破るためには、肩を並べて「聴いて聴いて聴く」。肩を並べて「待って待って待つ」。もう一度、そこから始めるしかない。それによって、「間」が生まれ、「言葉」や「思考」が生まれ、「つながり」と「共働」「運動」が生まれるのである。

補遺

若者を危険に晒す

12月20日イランのロウハニ大統領と会談
自衛隊派遣について 理解を得たつもりでいた

サウジアラビア UAE(アラブ首長国連邦) オマーン
3カ国を歴訪する
その口乾かぬ翌8日 事態急変
イランがイラク国内の 米軍駐留基地をミサイル攻撃
迅速な判断 中東歴訪の中止発表
自衛隊の情報収集よりも 中東3カ国に出向いた方が
事態の収拾を 世界に発信できるのに
なんとも 覇気なき撤退か
アメリカとイランにいい顔できると自認して
仲を取り持つ努力は口先だけで 何もせずに終わります
ただただ 危険地帯に行きたくない
リスクを恐れ 安全地帯で様子を伺う
アメリカのご機嫌伺い 丸見えで 
中東諸国は それ見たことかとあきれ顔

でも自衛隊は大丈夫 
こんな事態だからこそ 派遣に前のめり
「海上警備行動」の発令で 武器の使用が可能です
ここぞとばかりに 集団的自衛権をお見せします
同盟国の得点稼ぎに 若者たちを危険に晒(さら)す

「今年は戦後外交の総決算に挑戦し 新たな外交の地平を切り開いていきたい」
ロシアとの北方領土も 北朝鮮との拉致問題も
韓国や中国との外交・経済問題 
行き詰まり どん詰り 
滞(とどこお)って 何ひとつ解決してはいない
事態の悪化を招いた外交 どんな総決算になるのやら
新たな外交の地平は 見事に8日
その視界を自ら遮(さえぎ)り チャンスを逃す
挑む前から白旗あげる 前触れか

アメリカの大義のプロパガンダが 動いています

※「大義のプロパガンダ」をテーマにした、「鳥居一頼の世語り」(117)/2019年11月9日掲載の「子どもにも分かる嘘」をご覧ください。

〔2020年1月8日書き下ろし。ガソリンが150円以上になりました。灯油の値段も厳冬期の北海道ではヤバイです。自衛官も道内から派遣されます。家族の不安はいかばかりか。偉いお方は、暖かい部屋で相談ぶって命令すれば済むことです〕

一攫千金の夢

はっさん 宝くじどうなった

どうもこうもない 
今年は運が向いてくるなんて 辻占いに言われて
買ってはみたが 全然ダメ
あの辻占いに そそのかされました

当たるも八卦 当たらぬも八卦 
宝くじとて同じ事
もぅ一つ 今年運気があるということは
まだ捨てたもんじゃない
くじを買ったのは 去年のこと
今年の運気で 買ったわけじゃないからね

さすが大家さん よくぞ言ってくれました
その言葉を信じて 今年はもっとくじを買いましょう
一年後 どうぞお楽しみ

おやおや ずいぶん待たせるね
家賃だけは 待てませんよ

一攫千金(いっかくせんきん)の夢を追う 
どこにでもありそうな世情です
でも 博打(ばくち)ともなれば 人も豹変します
カジノを含む総合型リゾート(IR)
運営事業者の選定基準を盛り込んだ基本方針決めるという
博打好きのアメリカさんの肩入れで 
あぶく銭を巻き上げる 一大国家プロジェクト
金儲けしか頭にない輩たちは
こぞって誘致話に 現金抱えてあの手この手で懐柔策を弄する
新年早々ケチがつき 議員の逮捕者出る中で それでも方針変えません 
政権は 無視を決め込み 木で鼻をくくる 
今年も そのおぞましさは変わらない 

いま号外が出た!
イランがアメリカへの報復作戦開始
イラクの米軍駐留基地をミサイル攻撃!

トランプのテロ 
人命を顧みない 身勝手卑劣きわまる大博打
その責任を だれが取るのだ!

〔2020年1月8日8時52分号外! 世界は博徒が闊歩する。体裁繕う政権は終末期を露呈する〕

ふがいない

大家さん 聞いたかい
あの夫婦 別れたと思ったら
また一緒になんちゃら 言い出して
周りの迷惑かえりみず 
ふっつく相談 ぶってんだってさ

はっさん それでどうなった

どうもこうもありゃしない
俺の言い分聞くなら 一緒になってやろうって言い抜かして
あんたの言い分聞いてたら とても一緒になれませんて言い出す始末
双方なかなか 折り合わない

これで何度目だい ふっついたり別れたり
ほんとに呆れかえるね

犬も食わない夫婦げんかとはいうものの
退屈しきった世間様
どんな始末がつくのやら 高みの見物してたけど
今じゃあきれて 世間の関心薄れるままに 
当人同士で つばぜりあい
やっぱり 見ててアホらしい
やってられるか 好きにしてっていうところ 

だから世間は 背を向けたってわけかい

少しは 面白くなるかなと期待した分
こりゃどうにもならないと
みんなも悟った次第です

そもそも ふっつこうというのは 互いの打算
思惑外れりゃ それは無理ってもんだろう
まあまあ 世の中変えるわけでもあるまし
好きにするといい
 
細かいところが気になって
大事なところが見えないこのふたり
寄り合えないじゃ仕方ない
復縁も つぶれるのは道理
はじめから分かっていたことなのに
何を考えているのやら 
事の大事の道筋を つけられないふたりでは
大同団結なんぞ 最初からできるはずはない

ほんとに ふがいないふたりだね

落としどころもない話
落ち度を 責め合うふたりでは
周りはとうてい 落ち着かない
問題は 次の選挙で落ちぶれるかどうか
落ち目の回避だけのこと

これじゃいつまで経っても 意地の張り合い 痴話げんか
内閣の支持率低下の このチャンス
こんなレベルじゃ野党さん 民は愛想尽かしています
この体たらく いつまでさらしているのでしょう
せめて通常国会までに シャキッとしてはいかがです

期待薄…

〔2020年1月6日書き下ろし。野党の共闘この期に及んでまだ寄り合えない体たらく。民心は遠のくばかり。言ってもせんないか〕

ふくしとは

「ふくし」とは
「ふだんの・くらしの・しあわせ」

冬休み 元気に過ごしているかな
給食がないけど 三食きちんと食べている
今日も 子どもだけでお留守番
お母さん 朝から晩まで頑張って働いているんだね
昼ご飯 一人で支度できるようになったんだ
下の子に ちゃんと食べさせなきゃね
偉いぞ

とても寒いね
暖かいかっこうしてるかな
寒い部屋にいないかな
風邪引いていない
えっ 咳してるの 熱はないかい
下の子熱があるから 氷枕で冷やしているのか
病院には 行ってないの
そうだよね 母さん仕事でいないから
お正月だし 病院にも連れて行けないんだね
風邪引いても 買い薬飲んで 我慢して寝るしかないのか
お母さんも心配で 辛いね
何かあったら 連絡できる人はいるのかい
そうか あんまり迷惑かけたくないか
暖かくして やわらかい温かいものと水分だけはとってね
看病してるって 偉いな

今年のお正月も どこも遊びに行けなかったんだね
お年玉を もらうこともなかったんだ
でもなに
お母さんが 新しい服を買ってくれたの
お正月の朝起きたら 枕元に置いてあって
前からほしかった服だから すごくうれしかった
よかったね
お母さん 喜んでくれることが 一番
また頑張って働こうって 元気がでるみたい
今度の休みにその服を着て みんなで買い物に行くって
お母さんと約束したんだ
だから 早く風邪を治してあげたいんだ
やっぱりきみは すごく偉いな

ただね
靴が小さくなって
歩くと少し痛い

ないものねだりせず
わがままもいわず
身を粉にして
いまのくらしを 子どもとまもる

「ふくし」とは 母と子の
「ふだんのくらしのしあわせ」づくり

〔2020年1月5日書き下ろし。「物質的剥奪指標」から母子家庭の貧困について考えてみた。幼気(いたいけ)な子どもたち、母ちゃん、ガンバレ!〕